88回薬剤師国家試験問30 日本薬局方ブドウ糖注射液の定量法

88回薬剤師国家試験 問30
日本薬局方ブドウ糖注射液の定量法に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

本品のブドウ糖(C6H12O6)約4 gに対応する容量を正確に量り、
アンモニア試液0.2 mL及び水を加えて正確に100 mLとし、
よく振り混ぜて30分間放置した後、
旋光度測定法により20±1℃、
層長100 mmで旋光度αDを測定する。

 

ブドウ糖(C6H12O6)の量(mg)= αD × 1895.4
である。

 

a 旋光度は、測定に用いる光の波長に関係しない。
b 右旋性とは、偏光の進行方向に向き合って見るとき、偏光面を右に回転する性質である。
c アンモニアを加える理由は、ブドウ糖の変旋光を平衡状態にして安定した旋光度を得るためである。
d アンモニアを加える理由は、測定液の着色を防ぐためである。
e 層長200 mmの測定管を用いても、計算式の係数は1895.4である。

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88回薬剤師国家試験 問30 解答解説

 

◆ aについて
a × 旋光度は、測定に用いる光の波長に関係しない。
→ 〇 旋光度は、測定に用いる光の波長により変化する。

 

旋光度は入射する平面偏光の波長により変化するが、
これを旋光分散(optical rotatory dispersion::ORD)という。

 

 

◆ bについて
b 〇 右旋性とは、偏光の進行方向に向き合って見るとき、偏光面を右に回転する性質である。

 

下記のリンク先を参照
旋光の右旋性・左旋性 84回問14b

 

 

◆ c,dについて
c 〇 アンモニアを加える理由は、ブドウ糖の変旋光を平衡状態にして安定した旋光度を得るためである。

 

d × アンモニアを加える理由は、測定液の着色を防ぐためである。

 

ブドウ糖の水溶液にアンモニアを加えることにより、
ブドウ糖水溶液の変旋光は促進され、速やかに平衡状態に達する。
こうすることで安定した旋光度を得られる。

 

変旋光については下記のリンク先を参照
変旋光とは

 

 

なお、ブドウ糖水溶液にアンモニアを加えると、
メイラード反応の進行に伴い測定液は褐変すると考えられる。

 

 

◆ eについて
e 層長200 mmの測定管を用いても、計算式の係数は1895.4である。

 

ある光学活性物質の単位層長・単位濃度当たりの旋光度を比旋光度と呼ぶ。

 

温度t、単色光X(波長または光線の名称)を用いて測定したときの
旋光度の実測値αと比旋光度[α]について、下記の式が成り立つ。
なお、lは測定管の層長で単位はmm、
cは濃度で単位はg/mLである。

 

88回薬剤師国家試験問30 局方ブドウ糖注射液の定量法

 

温度20℃、ナトリウムスペクトルD線を用いて測定したときの旋光度の実測値αと比旋光度[α]について、下記の式が成り立つ。

 

88回薬剤師国家試験問30 局方ブドウ糖注射液の定量法

 

上式において、
試料中のブドウ糖の量をx g,
試料の体積を100mLとすると、

 

88回薬剤師国家試験問30 局方ブドウ糖注射液の定量法

 

と変換できる。
上式における

 

88回薬剤師国家試験問30 局方ブドウ糖注射液の定量法

 

の係数は層長(l)に反比例する。
問題文によると、
層長が100mmで係数は1895.4だったので、
層長が200mmなら係数は947.7になると考えられる。

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