旋光分散 (ORD) スペクトルにおけるコットン効果 94回薬剤師国家試験問26c
第94回薬剤師国家試験 問26c
物質の旋光性に関する記述の正誤を判定してみよう。
c 旋光分散 (ORD) スペクトルにおける負のコットン効果では、短波長側に極小、長波長側に極大が観測される。
第94回薬剤師国家試験 問26c 解答解説
× c 旋光分散 (ORD) スペクトルにおける負のコットン効果では、短波長側に極小、長波長側に極大が観測される。
→ 〇 旋光分散 (ORD) スペクトルにおける負のコットン効果では、短波長側に極大、長波長側に極小が観測される。
→ 〇 旋光分散 (ORD) スペクトルにおける正のコットン効果では、短波長側に極小、長波長側に極大が観測される。
物質のある平面偏光における旋光度が入射する平面偏光の波長によって変化することを旋光分散(optical rotatory dispersion:ORD)といい、
横軸に平面偏光の波長をとり、
縦軸に旋光度または比旋光度をとってプロットして得られる曲線を旋光分散スペクトルという。
ある物質のある平面偏光での旋光分散曲線において、
横軸の波長の小さい方から大きい方へ向かうに従い、
縦軸の旋光度が単調に減少または増加していく場合、その旋光分散曲線を単純分散曲線という。
この単純分散に対し、光学活性物質と平面偏光の組み合わせによっては異常分散を示すことがある。
異常分散はコットン効果と呼ばれ、スペクトルにおいて平面偏光の波長の短い時と長い時とで極大値の山と極小値の谷を示す異常分散曲線が描かれる。
正のコットン効果とは、短波長側に旋光度の極小値の谷、長波長側に極大値の山が観測されることを指す。
負のコットン効果とは、短波長側に旋光度の極大値の山、長波長側に極小値の谷が観測されることを指す。
旋光分散のコットン効果に関する指標として、次のモル振幅αがある。
モル振幅αが正の値なら正のコットン効果、モル振幅αが負の値なら負のコットン効果となる。
旋光分散の異常分散曲線における、極値を示す波長とモル振幅などの情報は個別の官能基や光学活性物資に特徴的であるため、これらの情報は物質の同定、確認に用いられる。
旋光分散は、互いに光学異性体であるものの判定やペプチドやタンパク質などの高分子の立体構造解析にも利用できる。
なお、旋光分散の光源としては200nm〜700nmの連続光を放出するキセノンランプが用いられる。
★参考外部サイトリンク
偏光と旋光性(yakugaku labさん)