ピリジンとピロール 非共有電子対の軌道と塩基性・水溶性の関係 88回薬剤師国家試験問8c
第88回薬剤師国家試験 問8c
芳香族化合物に関する記述の正誤を判定してみよう。
c ピリジンとピロールの窒素原子の非共有電子対は、いずれもsp2混成軌道に存在する。
第88回薬剤師国家試験 問8c 解答解説
c × ピリジンとピロールの窒素原子の非共有電子対は、いずれもsp2混成軌道に存在する。
→ 〇 ピリジンの窒素原子の非共有電子対はsp2混成軌道に存在するが、ピロールの窒素原子の非共有電子対はp混成に存在する。
ピリジンの窒素原子上の非共有電子対(孤立電子対)は、sp2混成軌道に収容されているため、芳香族性に関与してない。そのため、ピリジンの窒素原子の非共有電子対は他原子に供与可能なので塩基性を示し、また、水素結合を形成するので水溶性が高い。
ピロールの窒素原子の非共有電子対はp軌道に収容されており、環の芳香族性に寄与するので塩基性を示さない。また、非共有電子対が環を非局在化することから、水素結合を形成しないので水溶性が低い。