87回薬剤師国家試験問2 主量子数,方位量子数,原子核,18族の電子配置
第87回薬剤師国家試験 問2
原子の構造に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。
a 殻において、主量子数がnの殻には電子がnの2乗個まではいれる。
b 原子核は2種類の粒子からなるが、そのうち正電荷をもつものを陽子、電気的に中性なものを中性子とよび、陽子と中性子の重さはほとんど同じである。
c 方位量子数l = 0の軌道は1個であるが、l = 1の軌道は2個の軌道からなる。
d 0族元素(18族元素)の最外殻電子はHeを除き、化学的に安定なs2p6の電子配置をもっている。
第87回薬剤師国家試験 問2 解答解説
◆ a,cについて
a × 殻において、主量子数がnの殻には電子がnの2乗個まではいれる。
→ 〇 殻において、主量子数がnの殻には電子が2×(nの2乗)個まではいれる。
c × 方位量子数l = 0の軌道は1個であるが、l = 1の軌道は2個の軌道からなる。
→ 〇 方位量子数l = 0の軌道(s軌道)は1個であるが、l = 1の軌道(p軌道)は、磁気量子数が−1,0,+1の3個の軌道からなる。
主量子数nは電子軌道をエネルギーの大きさで区別する数字であり、電子殻を表す。
主量子数n=1,2,3,・・・は、それぞれK殻,L殻,M殻,・・・に対応している。
1s軌道、2s軌道といった時の、1や2が主量子数であり、1s軌道はK殻、2s軌道はL殻ということになり、これらの軌道は主量子数が異なるので、軌道のエネルギーが異なることになる。
方位量子数l(エル)は電子軌道を軌道の形状で区別する数字である。
方位量子数l=0,1,2,3,・・・は、それぞれs軌道,p軌道,d軌道,・・・に対応している。
主量子数と方位量子数との関係について、主量子数n=Xの電子殻は、方位量子数が0〜(X−1)までのX個の種類の軌道から成る。
例えば、主量子数n=2のL殻は、方位量子数lが0のs軌道と方位量子数が1のp軌道という2種類の方位量子数の電子軌道から成る。
磁気量子数mは軌道が伸びる方向を区別する数字である。
方位量子数lと磁気量子数mの関係について、方位量子数l=Yの形状の電子軌道は、磁気量子数が、−Y,−(Y−1),−(Y−2),・・・,−3,−2,−1,0,+1,+2,+3,・・・,+(Y−2),+(Y−1),+Y、
の2Y+1個の種類の電子軌道から成る。
方位量子数が0の軌道(s軌道)は2×0+1=1個の磁気量子数の電子軌道から成り、方位量子数が1の軌道(p軌道)は2×1+1=3個の磁気量子数の電子軌道から成る。
例えば、方位量子数l=1のp軌道はpx,py,pzという伸びる方向が互いに垂直な3つの軌道から成る。
★参考外部サイトリンク
軌道と主量子数・全角運動量量子数(方位量子数)・磁気量子数・スピン量子数の意味(化学徒の備忘録さん)
◆ bについて
b 〇 原子核は2種類の粒子からなるが、そのうち正電荷をもつものを陽子、電気的に中性なものを中性子とよび、陽子と中性子の重さはほとんど同じである。
★参考外部サイトリンク
原子の構造(化学のグルメさん)
◆ dについて
d 〇 0族元素(18族元素)の最外殻電子はHeを除き、化学的に安定なs2p6の電子配置をもっている。
原子は最外殻電子の数が8であるとき化学的に安定であるという、オクテット則と呼ばれる経験則がある。
ヘリウム以外の18族元素の希ガス元素の電子配置は、s軌道に2つp軌道に6つで最外殻電子が8であり、オクテット則を満たしているので、希ガスは化学的に安定している。