85回薬剤師国家試験問8 化学結合
第85回薬剤師国家試験 問8
次の化学結合に関する記述の正誤を判定してみよう。
a 二酸化炭素(CO2)の2つの炭素-酸素間の平均原子間距離は、一酸化炭素(CO)の炭素-酸素間の原子間距離よりも大きい。
b ClはHに比べ電気陰性度が大きいので、CCl4の永久双極子モーメントはCHCl3に比べて大きくなる。
c エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、アルカリ性でCa2+と配位結合をして、安定な金属錯体を形成する。
d 異なる2つの原子が共有結合をするときに、片方の原子が他方の原子よりも電子を引きつける力が強いと、イオン性を帯びた共有結合となる。
第85回薬剤師国家試験 問8 解答解説
◆ aについて
a 〇 二酸化炭素(CO2)の2つの炭素−酸素間の平均原子間距離は、一酸化炭素(CO)の炭素-酸素間の原子間距離よりも大きい。
CO2の炭素−酸素間の結合はC=O二重結合であるのに対し、一酸化炭素はC三Oの三重結合である。
二重結合の方が三重結合よりも平均原子間距離が大きいため、二酸化炭素(CO2)の2つの炭素−酸素間の平均原子間距離は、一酸化炭素(CO)の炭素-酸素間の原子間距離よりも大きい。
★参考外部サイトリンク
共有結合によって結びついた物質(啓林館さん)
◆ bについて
b × ClはHに比べ電気陰性度が大きいので、CCl4の永久双極子モーメントはCHCl3に比べて大きくなる。
詳細は下記のリンク先を参照
CCl4とCHCl3の双極子モーメント 85回問8b
◆ cについて
c 〇 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、アルカリ性でCa2+と配位結合をして、安定な金属錯体を形成する。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は分子内に4つのカルボキシル基(COOH)を有し、この部分で金属イオンなどに配位結合を形成し、キレートを形成する。
COOH基が配位結合を形成するときはCOOHからプロトン(H+)が解離して陰イオン化してCOO:−となり、非共有電子対が供与できる状態でなければならないが、pHが上昇してアルカリ性になるほどCOOHからH+が外れてCOO−になりやすくなり、配位結合しやすくなる。
★参考外部サイトリンク
配位結合と配位子・錯体の性質 (薬学これでOK!さん)
◆ dについて
d 〇 異なる2つの原子が共有結合をするときに、片方の原子が他方の原子よりも電子を引きつける力が強いと、イオン性を帯びた共有結合となる。