非共有電子対(孤立電子対)がsp2混成軌道に収容されているのはどれか 100回薬剤師国家試験問7
第100回薬剤師国家試験 問7
非共有電子対(孤立電子対)がsp2混成軌道に収容されているのはどれか。1つ選びなさい。
第100回薬剤師国家試験 問7 解答解説
2のフランの酸素原子において、sp2混成軌道と2p軌道にそれぞれ1対ずつ非共有電子対(孤立電子対)が収容されている。
一般に、sp2混成軌道の非共有電子対は供与可能であるが、フランはピリジン等と異なり塩基性をほとんど示さない。その理由の1つとして、酸素原子の電気陰性度が大きく、sp2軌道の非共有電子対が原子核に強くひきつけられるため、他の原子に供与されにくくなっていると考えられる。
なお、フランの酸素原子には、2p軌道にも非共有電子対が1対収容されているが、これによってフラン環のπ電子数が6個となり、ヒュッケル則のπ電子数の条件である4n+2個を満たすので、フラン環は芳香族性を示す。
★参考外部サイトリンク
sp3、sp2、sp混成軌道の見分け方とヒュッケル則(役に立つ薬の情報〜専門薬学さん)
他の選択肢の物質について
◆ 1について
CH3CN
アセトニトリルでは、窒素原子のsp混成軌道に非共有電子対が1対収容されている。
◆ 2について
アニリンの窒素原子は、
sp3混成軌道をとっているなら、sp3に非共有電子対が1対収容されている。
sp2混成軌道をとっているなら、p軌道に非共有電子対が1対収容され、非共有電子対はベンゼン環にまたがる共役系の中で非局在化すると考えられる。
いずれにしても、sp2に非共有電子対は入らない。
◆ 3について
ピロールの窒素原子では、sp2混成軌道をとっているが、非共有電子対は2p軌道に1対収容されており、これによってピロール環のπ電子数が6個となり、ヒュッケル則のπ電子数の条件である4n+2個を満たすので、ピロール環は芳香族性を示す。また、ピロールのN原子の2pの非共有電子対は、実際はピロール環を非局在化しているため他の原子に供与できるものではなく、結果、ピロールは塩基性を示さない。
ピロールとピリジンの比較について下記のリンク先を参照
ピリジンとピロール 非共有電子対の軌道 88回問8c
◆ 4について
5のトリエチルアミンでは、窒素原子のsp3混成軌道に非共有電子対が1対収容されている。
★ 他サイトさんの解説へのリンク
100回問7(e-RECさん)