86回薬剤師国家試験問7 NH3,NH4+の構造,性質
第86回薬剤師国家試験 問7
窒素の化合物に関する記述の正誤を判定してみよう。
1.NH3分子のN-H結合は、共有結合である
2.窒素原子の電子配置は (1s) 2(2s)2(2p)3であるが、NH3を形成するときには窒素の電子配置はsp2混成軌道となる。
3.NH3にH+が近づくと、窒素の孤立電子対(非共有電子対)がH+に供与されて、NH4+となる。
4.NH4+では、4つのHがNを取り囲んだ平面四角形構造をとっている。
5.NH4+の正電荷は、1つのHに局在している。
第86回薬剤師国家試験 問7
◆ 1について
1.〇 NH3分子のN−H結合は、共有結合である
◆ 2について
2.× 窒素原子の電子配置は (1s) 2(2s)2(2p)3であるが、NH3を形成するときには窒素の電子配置はsp2混成軌道となる。
→ 〇 窒素原子の電子配置は (1s) 2(2s)2(2p)3であるが、NH3を形成するときには窒素の電子配置はsp3混成軌道となる。
◆ 3について
3.〇 NH3にH+が近づくと、窒素の孤立電子対(非共有電子対)がH+に供与されて、NH4+となる。
NH3のNはsp3に入った非共有電子対を有する。
この非共有電子対は空の電子軌道を有する原子に供与されて配位結合が形成される。
NH3にH+が近づくと、NH3のNのsp3の非共有電子対がH+の空の1s軌道に供与されて配位結合が形成され、+NH4が生成する。
★参考外部サイトリンク
化学【3分でわかる】配位結合の仕組みと共有結合との違い(ViCOLLA Magazineさん)
◆ 4について
4.× NH4+では、4つのHがNを取り囲んだ平面四角形構造をとっている。
→ 〇 NH4+では、4つのHがNを取り囲んだ正四面体構造をとっている。
sp3混成軌道では正四面体構造となる。
★参考外部サイトリンク
アンモニウム(wikipediaさん)
◆ 5について
5.× NH4+の正電荷は、1つのHに局在している。
→ 〇 NH4+の正電荷は、4つのHに分散している。
物質はエネルギーが低く安定な状態になろうとする。
電荷の局在と物質のエネルギーの大小について、
電荷が狭い範囲に局在すると物質のエネルギーは高く不安定であり、
電荷が広い範囲に分散すると物質のエネルギーは低く安定である。