基底状態の分子軌道では、反結合性軌道には電子が収容されない 89回問2a
第89回薬剤師国家試験 問2
化学結合と混成軌道に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。
a 基底状態の分子軌道では、反結合性軌道には電子が収容されない。
第89回薬剤師国家試験 問2a 解答解説
a 〇 基底状態の分子軌道では、反結合性軌道には電子が収容されない。
原子が化学結合をしている際の電子の様子について、原子価軌道法と分子軌道法という2つの考え方がある。
原子価軌道法では、2つの原子においてそれぞれの価電子の電子軌道が重なり合うことにより共有結合が形成されていると考える。
一方、分子軌道法は分子において電子は特定の原子に属しているのではなく、電子は分子全体を動き回っていると考える。分子軌道法では、原子から分子が生成するときに、分子軌道という新たな分子における電子の軌道が出来るとし、その中を電子が動くと考える。
分子軌道が出来るときには、エネルギーの低い結合性軌道とエネルギーの高い反結合性軌道という2種の軌道が出来るのだが、一般に、分子が基底状態にあるときは、電子はエネルギーの低い結合性軌道に収容される。