薬物放出がHiguchi式に従うときの累積薬物放出量 101回薬剤師国家試験問55
101回薬剤師国家試験 問55
マトリックス型放出制御製剤からの薬物放出がHiguchi式に従うとき、時間tまでの単位面積当たりの累積薬物放出量について、正しい記述はどれか。1つ選びなさい。
1 tに比例する。
2 tの平方根に比例する。
3 tの立方根に比例する。
4 tに反比例する。
5 tの平方根に反比例する。
6 tの立方根に反比例する。
101回薬剤師国家試験 問55 解答解説
マトリックス型放出制御製剤からの薬物放出がHiguchi(ヒグチ)式に従うとき、時間tまでの単位面積当たりの累積薬物放出量について、正しいのは、選択肢2の「tの平方根に比例する」である。
Higuchi(ヒグチ)式は以下の通り。
Q = [D・(2A−Cs)Cs・t]1/2
Q:単位面積当たりの累積薬物放出量 A:マトリックス中の薬物の全濃度
D:マトリックス中の薬物の拡散係数 Cs:薬物の溶解度
t:時間
よって、薬物放出がHiguchi(ヒグチ)式に従うとき、
時間tまでの単位面積当たりの累積薬物放出量は、
時間tの平方根(√t)に比例する。
薬物の放出がヒグチ式に従うのは、マトリックス型放出制御製剤のうち、投与後もマトリックス構造が維持されたまま、マトリックス内を薬物が拡散し、表面から放出されるタイプの製剤である。
このタイプのマトリックス型製剤では、薬物のマトリックス内の拡散が薬物溶出の律速となり、薬物が放出されていくのに伴い、マトリックス内の薬物が残存する層が後退していくので、投与からの経過時間が長くなるほど、薬物が放出されるまでにマトリックス内を拡散する距離が長くなる。
よって、このタイプの製剤では、投与からの時間が長くなるほど、単位経過時間当たりの薬物放出量が低下する。
このタイプの製剤の例として、不溶性マトリックス型経口投与製剤やマトリックス型経皮吸収製剤が挙げられる。
なお、マトリックス型製剤であっても、マトリックス自体が溶解もしくは浸潤するのに伴い薬物を放出するタイプの製剤では、上記のような薬物放出を示さない。
関連問題
・薬物放出がHiguchi式に従うときの溶出試験のグラフ 98回問179
・不溶性マトリックス型徐放性製剤からの薬物放出パターン 106回問49
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