図の構造の製剤の水中での水溶性薬物の放出パターン 106回薬剤師国家試験問49
106回薬剤師国家試験 問49
図の構造をもつ経口固形製剤が示すと考えられる、水中での水溶性薬物の放出パターンはどれか。1つ選びなさい。
106回薬剤師国家試験 問49 解答解説
正解は4のグラフである。
図の構造をもつ経口固形製剤は、
水不溶性高分子のエチルセルロースを基剤とし、
その中に主薬を分散させたワックスマトリックス型徐放性製剤だと考えられる。
本剤は、ワックスマトリックス型製剤の中でも、徐放性基剤が水不溶性であるので、不溶性マトリックス型徐放性製剤である。
不溶性マトリックス型の徐放性製剤の水中での薬物の放出は、
不溶性基剤によりマトリックス構造が維持されたまま、
マトリックス内を薬物が拡散することにより放出される。
不溶性マトリックス型徐放性製剤では、薬物のマトリックス内の拡散が薬物溶出の律速過程となり、薬物が放出されていくのに伴い、マトリックス内の薬物が残存する層が後退していくので、投与からの経過時間が長くなるほど、薬物が放出されるまでにマトリックス内を拡散する距離が長くなる。
よって、不溶性マトリックス型徐放性製剤では、
投与からの時間が長くなるほど、単位経過時間当たりの薬物放出量が低下する。
以上より、水不溶性マトリックス型徐放性製剤の水中での水溶性薬物の放出を表すのは、
4のグラフだと考えられる。
以下、他の選択肢について
1と2は急激に薬物の放出率が上昇していることから、速放性の要素を持つ製剤だと考えられる。
3と5はグラフが右上がりの直線であることから、薬物放出量が時間に比例する製剤だと考えられる。
また、5は2段階で薬物が放出されるよう制御された製剤だと考えられる。
以上のことから、1,2,3,5は不溶性マトリックス型徐放性製剤のグラフではないと考えられる。
★ マトリックス型放出制御製剤とHiguchi式
不溶性マトリックス型放出制御製剤からの薬物放出はHiguchi式に従うとされ、
累積薬物放出量,または,溶出率は時間の平方根(√t)に比例する。
関連問題
・不溶性マトリックス型製剤の溶出試験のグラフ 98回問179
★ 他サイトさんの解説リンク
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