経口徐放性製剤の特徴 86回薬剤師国家試験問156
86回薬剤師国家試験 問156
経口徐放性製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
a 一般に生物学的半減期の長い薬物に対して有用である。
b 消化管からの吸収が良好な薬物には不適当である。
c 肝初回通過効果の大きい薬物には適していない。
d スパンスル型は、徐放性顆粒と速溶性顆粒を混合してカプセル充てんした製剤である。
86回薬剤師国家試験 問156 解答解説
◆ aについて
a × 経口徐放性製剤は、一般に生物学的半減期の長い薬物に対して有用である。
→ 〇 経口徐放性製剤は、一般に生物学的半減期の短い薬物に対して有用である。
生物学的半減期の短い薬物は、徐放性製剤で投与することにより、少ない投与回数で血中濃度を長時間安定化することができる。
また、生物学的半減期の短い薬物を通常の経口製剤で投与すると、投与回数が頻回になり、
投与後の血中濃度の急な立ち上がりによる副作用発現の頻度は多くなり、
最高血中濃度が高くなることによる副作用発現のリスクも高くなる
生物学的半減期の長い薬物は、徐放性製剤でなくても、少ない投与回数で血中濃度を一定に保つことができる。
◆ bについて
b × 経口徐放性製剤は、消化管からの吸収が良好な薬物には不適当である。
→ 〇 経口徐放性製剤は、消化管からの吸収が良好な薬物に適当である。
経口徐放製剤は、消化管内で製剤から薬物が少しずつ放出されるので、
薬物の消化管からの吸収が悪いと有効な血中濃度が得られないことになりかねない。
◆ cについて
c 〇 経口徐放性製剤は、肝初回通過効果の大きい薬物には適していない。
経口徐放性製剤は通常の経口製剤に比べて、薬物が初回通過効果を受ける可能性は高くなる。
よって、肝初回通過効果の大きい薬物を経口徐放製剤として投与すると、
有効な血中濃度が得られないことになりかねない。
◆ dについて
d 〇 スパンスル型は、徐放性顆粒と速溶性顆粒を混合してカプセル充てんした製剤である。
スパンスル型カプセルは、速放出性顆粒と種々の徐放出性顆粒を混合してカプセルに充てんしたものである。
一般に、徐放性製剤は血中濃度の立ち上がりが緩やかで、作用発現開始まで時間がかかる。
スパンスル型では、速放出性顆粒からの薬物放出で速やかに薬効が得られ、
徐放出性顆粒からの薬物放出で長時間薬効が持続する。