反応速度の温度依存性 108回薬剤師国家試験問94
108回薬剤師国家試験 問94
反応速度の温度依存性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 アレニウス式は、温度と平衡定数の関係を表している。
2 0次反応にはアレニウス式は適用できない。
3 アレニウス式に従う反応の場合、アレニウスプロットでは右上がりの直線が得られる。
4 2つの反応のアレニウスプロットの傾きが等しい場合、その2つの反応の活性化エネルギーは等しい。
5 アレニウスプロットの傾きの絶対値が大きい反応ほど、反応速度に与える温度の影響が大きい。
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108回薬剤師国家試験 問94 解答解説
◆ 1,2について
1 × アレニウス式は、温度と平衡定数の関係を表している。
→ 〇 アレニウス式は、温度と反応速度定数の関係を表している。
2 × 0次反応にはアレニウス式は適用できない。
→ 〇 アレニウス式は0〜2次反応のいずれにおいても成立する。
温度Tと反応速度定数kの関係を表す式として、
下記のアレニウス式がある。
アレニウス式より、反応速度定数kは温度の上昇とともに指数関数的に上昇するといえる。
なお、温度と平衡定数の関係を表す式として、
ファントホッフの式がある。
詳細は下記のリンク先を参照
ファントホッフプロットとは
◆ 3について
3 × アレニウス式に従う反応の場合、アレニウスプロットでは右上がりの直線が得られる。
→ 〇 アレニウス式に従う反応の場合、アレニウスプロットでは右下がりの直線が得られる。
いくつかの温度で反応速度定数(k)を測定し、
絶対温度の逆数(1/T)に対して反応速度定数の自然対数(lnk)をプロットすると、
下図のような右下がりの直線が得られる。
これをアレニウスプロットと呼ぶ。
@式より、アレニウスプロットの直線の傾きは(−Ea/R)であり、
y切片は頻度因子の自然対数(lnA)である。
よって、アレニウスプロットの直線を分析すると、
傾きから活性化エネルギー(Ea)が求められ、
y切片から頻度因子(A)が求められる。
なお、頻度因子(A)は、温度が無限大に高い時の反応速度定数kとされ、
反応速度定数kと同じ単位を持つ。
◆ 4について
4 〇 2つの反応のアレニウスプロットの傾きが等しい場合、その2つの反応の活性化エネルギーは等しい。
アレニウスプロットの直線の傾きは(−Ea/R)である。
下の図は活性化エネルギーが等しい反応Xと反応Yのアレニウスプロットである。
上の図のように、2つの反応の活性化エネルギーが等しい場合、その2つの反応のアレニウスプロットの傾きは等しくなる。
したがって、2つの反応のアレニウスプロットの傾きが等しい場合、その2つの反応の活性化エネルギーは等しいといえる。
◆ 5について
5 〇 アレニウスプロットの傾きの絶対値が大きい反応ほど、反応速度に与える温度の影響が大きい。
下の図は、活性化エネルギーが相対的に大きい反応(Ea大)と小さい反応(Ea小)のアレニウスプロットである。
上の図が示す通り、活性化エネルギーが大きく、傾きが大きい反応ほど、
温度の変化に対する反応速度定数kの変化の度合いが大きい。
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