試料前処理法に関する記述 91回薬剤師国家試験問29

91回薬剤師国家試験 問29
薬物の分析を行う際の試料前処理法に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 溶媒抽出で1回の抽出率が悪いときは、複数回行って抽出効率を上げることができる。
b 固相抽出の抽出効率は、溶媒抽出に比べて劣る。
c 溶媒抽出は、遊離の薬物(遊離型薬物)と血清タンパク質と結合した薬物(結合型薬物)の分離に適している。
d 弱塩基性薬物ではpKaより水相のpHを低く調整し、有機溶媒中に抽出する。
e 固相抽出には、吸着、分配、イオン交換型などの固相が用いられる。

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91回薬剤師国家試験 問29

 

◆ aについて
a 〇 溶媒抽出で1回の抽出率が悪いときは、複数回行って抽出効率を上げることができる。

 

溶媒抽出法において、
水溶液中の目的成分を一定量の有機溶媒で抽出する場合、
一度で抽出するより抽出回数を増やした方が抽出効率は高くなる。

 

 

◆ bについて
b × 固相抽出の抽出効率は、溶媒抽出に比べて劣る。
→ 固相抽出の抽出効率は、溶媒抽出に比べて優れる。

 

試料前処理の固相抽出法は溶媒抽出法と比較して、
一般に、操作が簡便であり、回収率が高く、抽出効率が高く有機溶媒の使用量が少なくて済む。

 

 

◆ cについて
c × 溶媒抽出は、遊離の薬物(遊離型薬物)と血清タンパク質と結合した薬物(結合型薬物)の分離に適している。

 

溶媒抽出法では、試料中の成分を溶媒との親和性に基づいて分離するが、
この分離機構では遊離の薬物と血清タンパク質と結合した薬物を分離することは難しい。

 

遊離の薬物と血清タンパク質と結合した薬物を分離する方法としては、
限外ろ過法や平衡透析法がある。

 

 

◆ dについて
d × 弱塩基性薬物ではpKaより水相のpHを低く調整し、有機溶媒中に抽出する。
→ 〇 弱塩基性薬物では共役酸のpKaより水相のpHを高く調整し、有機溶媒中に抽出する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
塩基性薬物の溶媒抽出と水相のpH 91回問29d

 

 

◆ eについて
e 〇 固相抽出には、吸着、分配、イオン交換型などの固相が用いられる。

 

試料前処理の固相抽出では、液体クロマトグラフィー用の充填剤をミニカラムやカートリッジに詰めたものを固相として用いる。
固相抽出法では、逆相分配型、順相分配型、吸着型、イオン交換型などの固相が用いられる。

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