94回薬剤師国家試験問29 生体試料中の薬物を分析する際の除タンパク法

94薬剤師国家試験 問29
生体試料中の薬物を分析する際の除タンパク法として最も適しているものはどれか。

 

1 シリカゲル、アルミナなどのカートリッジカラムによる固相抽出法
2 塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどによる塩析法
3 硝酸、硫酸などの酸を用いる方法
4 アセトニトリル、メタノールなどの有機溶媒を用いる方法
5 酵素や抗体などのタンパク質を担体に固定化したアフィニティークロマトグラフィー

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94薬剤師国家試験 問29 解答解説

 

生体試料中の薬物を分析する際の除タンパク法として最も適しているものは、
選択肢4のアセトニトリル、メタノールなどの有機溶媒を用いる方法である。

 

試料前処理の徐タンパクについて、
タンパク質の高次構造を破壊し、変性させ沈殿させて除去する方法(タンパク質変性沈殿法)と、
分子の大きさを利用してタンパク質を除去する方法がある。

 

タンパク質変性沈殿法の1つとして、
アセトニトリル、メタノールなどの水と混和して一層になる有機溶媒を用いる方法(有機溶媒変性法)がある。
下記のリンク先を参照
有機溶媒変性法による徐タンパク 97回問98の3

 

他のタンパク質変性沈殿法として、
かさ高い酸を用いる酸変性法がある。
下記のリンク先を参照
除タンパクに用いる酸として最も適しているのはどれか 108回問5

 

また、分子の大きさを利用してタンパク質を除去する方法として、
ゲルろ過法と限外ろ過法が挙げられる。

 

関連問題
除タンパクの方法 96回問29c

 

 

他の選択肢について
◆ 1について
1のシリカゲル、アルミナなどのカートリッジカラムによる固相抽出法は、
順相吸着型の充填剤を用いた固相抽出法であり、
固相に極性の高い低分子の目的物質を吸着させて抽出するのに適する。

 

 

◆ 2について
2の塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどによる塩析法とは、
溶媒抽出において、塩析を利用し抽出効率を高める手法である。

 

詳細は下記のリンク先を参照
溶媒抽出法の塩析法 92回問28c

 

 

◆ 3について
3 硝酸、硫酸などの酸を用いる方法

 

徐タンパクを行うタンパク質変性沈殿法の1つとして、
かさ高い酸を用いる酸変性法はあるが、
塩酸や硝酸、硫酸はかさ高くないので用いられない。

 

なお、硝酸、硫酸は湿式灰化法に用いられる。

 

関連問題
試料中の有機物を分解する灰化法 96回問29d

 

 

◆ 5について
5の酵素や抗体などのタンパク質を担体に固定化したアフィニティークロマトグラフィーは、
抗原と抗体,酵素と基質などのように生物学的親和性を利用して試料中の成分を分離する。
アフィニティークロマトグラフィーは目的とするタンパク質を分離するのに適するが、
不要なタンパク質の除去には適さない。

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