低分子量の薬物分析を行う際の試料の前処理 97回薬剤師国家試験問98
97回薬剤師国家試験 問98
低分子量の薬物分析を行う際の試料の前処理に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 水溶液中の目的物質を有機層に抽出するための有機溶媒として、ジエチルエーテルや1-ブタノールなどが用いられる。
2 水溶液中の目的物質がカルボン酸であれば、水溶液をアルカリ性にすると有機溶媒で抽出されやすくなる。
3 水溶液中のタンパク質を不溶化し除去するために添加する有機溶媒として、アセトニトリルやメタノールなどが用いられる。
4 水溶液中のタンパク質を不溶化し除去するために添加する酸として、塩酸、硝酸が適している。
97回薬剤師国家試験 問98 解答解説
◆ 1について
1 〇 水溶液中の目的物質を有機層に抽出するための有機溶媒として、ジエチルエーテルや1-ブタノールなどが用いられる。
詳細は下記のリンク先を参照
溶媒抽出で用いる有機溶媒 95回問29a
◆ 2について
2 × 水溶液中の目的物質がカルボン酸であれば、水溶液をアルカリ性にすると有機溶媒で抽出されやすくなる。
→ 〇 水溶液中の目的物質がカルボン酸であれば、水溶液を酸性にすると有機溶媒で抽出されやすくなる。
詳細は下記のリンク先を参照
酸性物質の溶媒抽出と水相のpH 92回問28b
◆ 3について
3 〇 水溶液中のタンパク質を不溶化し除去するために添加する有機溶媒として、アセトニトリルやメタノールなどが用いられる。
詳細は下記のリンク先を参照
徐タンパク 有機溶媒変性法で用いる有機溶媒 97回問98の3
◆ 4について
4 × 水溶液中のタンパク質を不溶化し除去するために添加する酸として、塩酸、硝酸が適している。
→ 〇 水溶液中のタンパク質を不溶化し除去するために添加する酸として、トリクロロ酢酸や過塩素酸などのかさ高い酸が適している。
水溶液中のタンパク質の高次構造を壊し、不溶化して沈殿させて除去する方法の1つとして、酸変性法がある。
酸変性法は、かさ高い酸を加えることで、タンパク質に結合して高次構造の形成に働く水分子を追い出し、
タンパクを変性させて疎水性部分を表面に露出させて不溶化する。
酸変性法で用いられる酸は立体的にかさ高いものである必要があり、トリクロロ酢酸や過塩素酸などが用いられる。
塩酸,硫酸,硝酸は酸としては強いが、かさ高くはないので良い徐タンパク効果を示さず、酸変性法では用いられない。
関連問題
除タンパクに用いる酸として最も適しているのはどれか 108回問5
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