インスリン レベミル注 102回薬剤師国家試験問284
102回薬剤師国家試験 問284
65歳男性。2型糖尿病。インスリン導入目的で入院となった。入院後は、看護師が1日3回インスリンを注射し、血糖コントロールは良好となった。退院に向け、以下のインスリンカートリッジ製剤が処方され、自己注射の指導に薬剤師が加わることになった。
問284(実務)
薬剤師が患者に伝えるべき内容として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 上腕部、大腿部、腹部、臀部等に皮下注射する。
2 使用開始後は、冷蔵庫に保管する。
3 食事を摂らなかった場合は注射しない。
4 この製剤は、入院中に使用していたインスリンよりも夜間に低血糖となるリスクが低い。
102回薬剤師国家試験 問284(実務) 解答解説
◆ 1について
1 〇 上腕部、大腿部、腹部、臀部等に皮下注射する。
インスリンの自己注射は、上腕、大腿、腹部、臀部等に皮下注射する。
投与部位により吸収速度が異なるので部位を決め、その中で注射箇所を毎回変えること。前回の注射箇所より2〜3cm離して注射すること。
例えば、注射部位を腹部と決めたら毎回腹部に打つが、前回打った箇所から2〜3cm離して打つ。
前回の注射箇所から2〜3cm離す理由は、同一箇所への繰り返し投与により、皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーを引き起こすことがあるためである。これらの病変が起こった場合、皮膚の腫瘤や硬結を認め、インスリンの吸収が妨げられることがある。
また、お腹に注射する場合は、おへそから5cmは離す。その理由は、おへそ近辺の皮膚は線維組織が多く、インスリンの吸収のばらつきが大きいためである。
◆ 2について
2 × 使用開始後は、冷蔵庫に保管する。
インスリンの自己注射の保管について、
未使用のものは冷蔵庫に保管し、
使用開始後は室温で保管する。
使用開始後のインスリンを室温で保管する理由として、
冷たいままのインスリンを注射すると強い痛みを感じること、
インスリンの注射器を冷蔵庫から出したり入れたりすることの繰り返しにより、注射器内に結露が生じ、故障につながるおそれのあることが挙げられる。
未使用のインスリンは冷蔵庫に保管するが、
その際の注意として、
凍結を避けるために、冷蔵室内の温度を下げすぎないようにし、
冷風が直接当たらない場所(ドアポケットなど)に置く。
◆ 3について
3 × 食事を摂らなかった場合は注射しない。
レベミル注(インスリンデテミル)は、時効型インスリンであり、
インスリンの基礎分泌を補う製剤である。
よって、基本的に食事を摂らなかった場合も注射する。
◆ 4について
4 〇 この製剤は、入院中に使用していたインスリンよりも夜間に低血糖となるリスクが低い。
入院中に使用していたインスリンは1日3回打つタイプであるため、
超速効型か速効型のインスリンである。
レベミル注(インスリンデテミル)は時効型インスリンであり、
超速効型や速効型に比べて夜間低血糖のリスクが低い。
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102回問284,285(e-RECさん)