アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤の併用 103回薬剤師国家試験問282,283
103回薬剤師国家試験 問282?283
2歳男児。夕方に発熱があり、同時に痙れんが起こったので近所の小児科を受診した。その後、母親が処方箋を薬局に持参した。その処方内容は以下のとおりであった。
問282(実務)
薬剤師が坐剤の使用経験を確認したところ、坐剤の併用は初めてとのことであった。そこで、この2種類の坐剤の併用方法について説明した。その内容として適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、熱が下がってからジアゼパム坐剤を挿入してください。
2 ジアゼパム坐剤を先に挿入し、3〜5分ほどしてからアセトアミノフェン坐剤を挿入してください。
3 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、3〜5分ほどしてからジアゼパム坐剤を挿入してください。
4 ジアゼパム坐剤を先に挿入し、30分以上してからアセトアミノフェン坐剤を挿入してください。
5 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、30分以上してからジアゼパム坐剤を挿入してください。
6 アセトアミノフェン坐剤を挿入したら、直ちにジアゼパム坐剤を挿入してください。
問283(薬剤)
前問の投与順を選択した理由として適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、直腸内で両主薬の溶解度が上昇し、吸収量が増加する。
2 アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、主薬間で不溶性の複合体を形成し、吸収量が減少する。
3 ジアゼパム坐剤を先に投与すると、アセトアミノフェンがマクロゴールに分配し、吸収量が減少する。
4 アセトアミノフェン坐剤を先に投与すると、ジアゼパムがハードファットに分配し、吸収量が減少する。
5 マクロゴールによってハードファットが不溶化し、アセトアミノフェンの溶出量が減少する。
103回薬剤師国家試験 問282−282 解答解説
熱性けいれんに対する処方に関する問題である。
問282の投与方法の正解は、
4の“ジアゼパム坐剤を先に挿入し、30分以上してからアセトアミノフェン坐剤を挿入する”である。
問283のその投与順となる理由の正解は、
4の“アセトアミノフェン坐剤を先に投与すると、ジアゼパムがハードファットに分配し、吸収量が減少する”である。
アセトアミノフェン坐剤の基剤のハードファットは、油脂性基剤である。
ジアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤)の基剤のマクロゴールは、ポリエチレングリコールのことであり親水性基剤である。
ジアゼパムは脂溶性であるため、アセトアミノフェン坐剤を先に投与し、後でジアゼパム坐剤を投与すると、先に投与したアセトアミノフェン坐剤のハードファットにジアゼパムが分配し、ジアゼパムの吸収が低下してしまう。
そのため、先にジアゼパム坐剤を投与し、30分以上してからアセトアミノフェン坐剤を投与する。
関連問題
ハードファット(ウィテプゾール) を用いた坐剤の特性 100回問279
★ 他サイトさんの解説リンク
103回問282,283(e-RECさん)