100回薬剤師国家試験問281 吸入粉末剤

100回薬剤師国家試験 問281
70歳男性。同居している家族がインフルエンザを発症したので、予防のために近医を受診したところ以下の処方が出された。
100回薬剤師国家試験問281 吸入粉末剤
問281(薬剤)
本吸入剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 添加されている乳糖粒子は、薬物粒子同士の過度な凝集を抑える働きがある。
2 薬物粒子は、吸入時に効率よく気道に到達する空気力学径である20μm前後の粒子径に設計されている。
3 薬物粒子が吸湿すると流動性が低下するため、防湿性の包装が施されている。
4 吸入時に、薬物粒子が二次粒子を形成するように設計されている。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 製剤の種類と特性 一覧へ

 

 

100回薬剤師国家試験 問281 解答解説

 

◆ 1,4について
1 〇 添加されている乳糖粒子は、薬物粒子同士の過度な凝集を抑える働きがある。

 

4 × 吸入時に、薬物粒子が二次粒子を形成するように設計されている。
→ 〇 吸入時に、薬物粒子が一次粒子に再分散されるように設計されている。

 

ザナミビル水和物ドライパウダーインヘラー(リレンザ)は吸入粉末剤(dry powder inhaler:DPI)である。
吸入粉末剤では、乳糖などのキャリアーが添加される。
乳糖粒子の表面に薬物粒子が付着し、二次粒子を形成することにより、薬物粒子の器具への付着や薬物粒子同士の凝集が抑えられる。
吸入時には、気流により乳糖粒子から薬物粒子が分離し、薬物粒子は一次粒子に再分散される。

 

 

◆ 2について
2 × 薬物粒子は、吸入時に効率よく気道に到達する空気力学径である20μm前後の粒子径に設計されている。

 

薬物の粒子径が10μm以上だと、上気道で捕捉されやすく、下気道には到達しにくい。
薬物の粒子径が0.5〜1μmだと、気道の一番奥の肺胞に到達しやすい。
薬物の粒子径が0.5μm以下だと、吸入しても呼気中に排出されてしまう。

 

そのため、吸入剤では、薬物粒子が効率よく目的部位の気管支または肺に到着し、かつ、沈着できるよう、空気力学径が0.5〜7μmになるよう設計されている。吸入剤全体では、平均粒子径が2〜3μmの製剤が多い。

 

 

◆ 3について
3 〇 薬物粒子が吸湿すると流動性が低下するため、防湿性の包装が施されている。

 

ザナミビル水和物ドライパウダーインヘラー(リレンザ)では、
下記のように薬剤の包装がアルミのブリスター包装となっており、遮光性・防湿性に優れる。

 

100回薬剤師国家試験問281 吸入粉末剤

 

リレンザは、薬剤の含まれるロータディスクをディスクヘラーと呼ばれる吸入器にセットし、吸入する製剤となっている。

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
100回問280,281(e-RECさん)

トップへ戻る