点眼液の特徴に関する記述 106回薬剤師国家試験問281
106回薬剤師国家試験 問281
72 歳男性。5年前から緑内障にて以下の処方1〜処方3で治療を受けていた。
問281(薬剤)
変更後の処方の各点眼液の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ビマトプロスト点眼液は、油性点眼液であるため、水性点眼液よりも先に点眼すると、水性点眼液の効果を高めることができる。
2 各点眼液に含まれるベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着される。
3 リパスジル塩酸塩水和物点眼液は、塩基性薬物が主薬であるため、保存剤は添加されていない。
4 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液中の懸濁粒子の粒子径は、約150μm である。
5 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液は、点眼液の粘度を高めて懸濁状態を安定化する添加剤が加えられている。
106回薬剤師国家試験 問281 解答解説
◆ 1について
1 × ビマトプロスト点眼液は、油性点眼液であるため、水性点眼液よりも先に点眼すると、水性点眼液の効果を高めることができる。
ビマプロスト点眼液(ルミガン点眼液)は水性点眼液である。
油性点眼液を水性点眼液よりも先に点眼すると、
先に点した油性点眼液によって後に点す水性点眼液がはじかれてしまい、
水性点眼液の効果が得られなくなる恐れがある。
よって、水性点眼液と油性点眼を同じタイミングで点す場合は、
先に水性点眼液を点し、後で油性点眼液を点す。
◆ 2について
2 〇 各点眼液に含まれるベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着される。
点眼液には保存剤としてベンザルコニウム塩化物が添加されている。
ベンザルコニウム塩化物はソフトコンタクトレンズに吸着し、これにより、
ソフトコンタクトレンズが変色したり、角膜上皮障害を引き起こす恐れがある。
そのため、ソフトコンタクトレンズを装用している場合は点眼前にレンズを外し、
点眼後15分以上経過後にレンズを再装用する。
◆ 3について
3 × リパスジル塩酸塩水和物点眼液は、塩基性薬物が主薬であるため、保存剤は添加されていない。
リパスジル塩酸塩水和物点眼液(グラナテック点眼液)は、
主薬のリパスジルが塩基性化合物であるが、
特に微生物による汚染を防げるような製剤ではないので、
ベンザルコニウム塩化物が保存剤として添加されている。
なお、保存剤フリーの製剤として、1回使い切りの製剤やフィルター内蔵型製剤がある。
◆ 4について
4 × ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液中の懸濁粒子の粒子径は、約150μm である。
→ 〇 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液(アゾルガ配合懸濁性点眼液)中の懸濁粒子の粒子径は、75μm以下である。
懸濁性点眼剤と眼軟膏剤中の粒子は、
最大粒子径75μm以下と規定されている。
◆ 5について
5 〇 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液は、点眼液の粘度を高めて懸濁状態を安定化する添加剤が加えられている。
ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液(アゾルガ配合懸濁性点眼液)には、増粘剤としてカルボキシビニルポリマー(カルボマー)が添加されており、これにより懸濁状態が安定化される。
なお、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)とは、
アクリル酸の重合体を主鎖とする水溶性の高分子であり、
増粘効果に優れる。
関連問題
カルボキシビニルポリマーは点鼻液の有効成分の鼻腔内滞留性を高める 107回問182の4
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106回問280,281(e-RECさん)