注射剤に関する記述の正誤 89回薬剤師国家試験問176
89回薬剤師国家試験 問176
注射剤に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 注射剤用の水溶性有機溶剤として、エタノールやポリエチレングリコール類などが主薬の溶解度の増加、加水分解の防止などの目的で使用される。
b 植物油に溶解又は懸濁した注射剤は、主として筋肉内注射に使用される。
c 乳濁性注射液は、乳剤中の粒子が、通例、150μm以下であれば、静脈内注射に適用できるが、脊髄腔内注射には適用できない。
d 10mLを超えて容器に充填された注射剤では、すべて発熱性物質試験法を適用しなければならない。
89回薬剤師国家試験 問176 解答解説
◆ aについて
a 〇 注射剤用の水溶性有機溶剤として、エタノールやポリエチレングリコール類などが主薬の溶解度の増加、加水分解の防止などの目的で使用される。
関連問題
コソルベンシーとコソルベント 106回問181の4,5
◆ bについて
b 〇 植物油に溶解又は懸濁した注射剤は、主として筋肉内注射に使用される。
油性注射剤は、静脈内に投与すると塞栓を起こす可能性があるため、静脈内注射はできない。
油性注射剤は、主として筋肉内注射される。
◆ cについて
c × 乳濁性注射液は、乳剤中の粒子が、通例、150μm以下であれば、静脈内注射に適用できるが、脊髄腔内注射には適用できない。
乳濁性注射液は、乳剤中の粒子の最大径が7μm以下と規定されており、静脈内注射に適用できるが、脊髄腔内注射には適用できない。
なお、粒子の最大径が150μm以下と規定されているのは懸濁性注射剤である。
懸濁性注射剤は、静脈内投与も脊髄腔内投与もできない。
関連問題
懸濁性注射剤と乳濁性注射剤の粒子径と適用 97回問177の4,5
◆ dについて
d × 10mLを超えて容器に充填された注射剤では、すべて発熱性物質試験法を適用しなければならない。
日本薬局方の製剤総則において、注射剤や注射剤に添付される溶解液は、
皮内,皮下及び筋肉内投与のみに用いるものを除き,別に規定するもののほか,エンドトキシン試験法に適合するものとし、エンドトキシン試験法の適用が困難な場合は,発熱性物質試験法を適用できると規定されている。