薬剤師国家試験過去問題集 製剤の種類と特性

皮膚に使用する製剤 107回薬剤師国家試験問181

107回薬剤師国家試験 問181
皮膚に使用する製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 油脂性基剤である単軟膏や白色軟膏は、乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。
2 水溶性基剤であるマクロゴールは、分子量が大きくなると水に不溶になる。
3 水溶性ゲル基剤は、損傷皮膚を含めた様々な状態の皮膚に安全に使用できる。
4 吸水クリームと親水クリームは、いずれもサラシミツロウを含んでいる。
5 マトリックス型のテープ剤は、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。

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107回薬剤師国家試験 問181 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 油脂性基剤である単軟膏や白色軟膏は、乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。

 

油脂性基剤は皮膚を保護する作用や皮膚軟化作用があり、また、皮膚に対する刺激が少ないため、
乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。

 

単軟膏とは、ミツロウ,ダイズ油を主体に、添加物として抗酸化剤のジブチルヒドロキシトルエンを含有する油脂性基剤である。

 

白色軟膏とは、白色ワセリンを主体に、サラシミツロウを少量含み、
添加物として界面活性剤のソルビタンセスキオレイン酸エステルと抗酸化剤のジブチルヒドロキシトルエンを含有する油脂性基剤である。

 

単軟膏は水分を吸収しないが、
白色軟膏は界面活性剤を含むため水分を吸収する。

 

 

◆ 2について
2 × 水溶性基剤であるマクロゴールは、分子量が大きくなると水に不溶になる。

 

水溶性基剤のマクロゴール(ポリエチレングリコール:PEG)は、分子量に関わらず水溶性である。
ただ、マクロゴールは平均分子量によって室温での性状が異なり、
平均分子量が1000以下では液状であり、
平均分子量が1000以上では固形状である。

 

 

◆ 3について
3 × 水溶性ゲル基剤は、損傷皮膚を含めた様々な状態の皮膚に安全に使用できる。

 

ゲル基剤は紅斑・丘疹だけの皮膚になら使用できるが、
その他の皮膚症状に対しては安全に使用できるとは限らない。

 

水溶性ゲル基剤は吸水性があるので皮膚を乾燥させ、また、刺激性がある。

 

 

◆ 4について
4 × 吸水クリームと親水クリームは、いずれもサラシミツロウを含んでいる。
→ 〇 吸水クリームはサラシミツロウを含むが、親水クリームはサラシミツロウを含まない。

 

サラシミツロウとはミツバチの巣から得たロウを漂白したものである。

 

吸水クリームは水相を含む油中水型(w/o型)の乳剤性基剤であり、
100g中の組成は下記の通りである。
白色ワセリン 40g
セタノール 10g
サラシミツロウ 5g
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 5g
ラウロマクロゴール 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.1g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1g
精製水 適量  を含有する

 

 

親水クリームは水中油型(o/w型)の乳剤性基剤であり、
100g中の組成は下記の通りである。
白色ワセリン 25g
ステアリルアルコール 20g
プロピレングリコール 12g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4g
モノステアリン酸グリセリン 1g
パラオキシ安息香酸メチル 0.1g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1g
精製水 適量 を含有する。

 

関連問題
吸水クリーム(吸水軟膏)は水相を含む 94回問174b

 

親水クリームの特徴と転相 83回問176d

 

 

◆ 5について
5 〇 マトリックス型のテープ剤は、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。

 

日本薬局方の粘着力試験法は、貼付剤の粘着力を測定する試験である。
マトリックス型のテープ剤は貼付剤であるので、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。

 

 

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