軟膏基剤に関する記述 94回薬剤師国家試験問174
94回薬剤師国家試験 問174
軟膏基剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 創傷面に水分を補給したいときには、水溶性基剤を用いる。
b 吸水軟膏(吸水クリーム)は、水相を含む乳剤性基剤である。
c 乳剤性基剤は、皮膚刺激性が少なく、びらんへの使用に適している。
d w/o型の乳剤性基剤と水溶性基剤との混合は、避けるべきである。
94回薬剤師国家試験 問174 解答解説
◆ aについて
a × 創傷面に水分を補給したいときには、水溶性基剤を用いる。
→ 〇 創傷面に水分を補給したいときには、水中油型(o/w型)の乳剤性基剤を用いる。
水溶性基剤は吸水性があるので、滲出液などの水分を吸収したいときに用いる。
◆ bについて
b 〇 吸水軟膏(吸水クリーム)は、水相を含む乳剤性基剤である。
油中水型(w/o型)の乳剤性基剤には、
水相を欠くタイプと水相を含むタイプの2種類がある。
吸水軟膏(吸水クリーム)は水相を含む油中水型の乳剤性基剤である。
なお、水相を欠く油中水型の乳剤性基剤として、
精製ラノリン,親水ワセリンがある。
水相を欠く油中水型の乳剤性基剤は、
そのままでは水を含んでいないが、水を吸収すると油中水型の乳剤性基剤になる。
関連問題
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◆ cについて
c × 乳剤性基剤は、皮膚刺激性が少なく、びらんへの使用に適している。
乳剤性基剤は、乳化剤や保存剤などの添加剤が多く含まれるので、皮膚刺激性が強い。
そのため、乳剤性基剤はびらん・潰瘍などの損傷面への使用には適さない。
◆ dについて
d 〇 w/o型の乳剤性基剤と水溶性基剤との混合は、避けるべきである。
水溶性基剤とw/o型の乳剤性基剤との混合はできない。
複数の外用薬を混合すると、組み合わせによっては、個々の性質が損なわれたり、互いに分離したりするので、注意が必要である。
乳剤性基剤は、他の基剤と混合すると、乳化の破壊や粘性の増減が生じる可能性がある。
外用薬の基剤による混合の可否は下記の表の通り。
ただし、〇であっても混合不可の場合もある。例えば、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)は基剤中に微細な液滴として分散した液滴分散系軟膏であり、他剤と混合することにより液滴が合一して大きくなるため、混合することは好ましくないとされている。