薬剤師国家試験過去問題集 製剤の種類と特性

軟膏基剤に関する記述 83回薬剤師国家試験問176

83回薬剤師国家試験 問176
軟膏基剤に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 油脂性基剤は皮膚面の被覆保護作用及び軟化作用があり、湿潤皮膚、乾燥皮膚のいずれにも適用できる。
b 乳剤性基剤又は水を含む軟膏基剤は、カビ類が発生しやすいので、保存剤としてパラオキシ安息香酸エステル類を添加できる。
c 水溶性基剤としてマクロゴール軟膏があり、これは吸水性に富むので分泌物を吸収除去できる。
d w/o型乳剤性基剤には親水クリームがあり、皮膚に塗布すると水分が蒸発し、o/w型に転相する。

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83回薬剤師国家試験 問176 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 油脂性基剤は皮膚面の被覆保護作用及び軟化作用があり、湿潤皮膚、乾燥皮膚のいずれにも適用できる。

 

油脂性基剤は皮膚を保護する作用や皮膚軟化作用があり、
また、皮膚に対する刺激が少ないため、
乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。

 

 

◆ bについて
b 〇 乳剤性基剤又は水を含む軟膏基剤は、カビ類が発生しやすいので、保存剤としてパラオキシ安息香酸エステル類を添加できる。

 

水を含む外用製剤はカビ類が発生しやすいので、
パラオキシ安息香酸エステル類などの保存剤を添加する。
パラオキシ安息香酸エステル類(p-hydroxybenzoate)はパラベンと呼ばれ、
細菌や真菌などの微生物の発育を抑える作用があるため、
保存剤(防腐剤)として用いられる。

 

83回薬剤師国家試験問176 軟膏基剤に関する次の記述の正誤について

 

◆ cについて
c 〇 水溶性基剤としてマクロゴール軟膏があり、これは吸水性に富むので分泌物を吸収除去できる。

 

患部に滲出液などの分泌物が多い場合は、吸水性に富む水溶性基剤をベースとする薬剤を選択する。
水溶性基剤としては、マクロゴール(軟膏),カデキソマー等の吸水ポリマー,白糖等がある。
マクロゴールについては下記のリンク先を参照
マクロゴール 90回問175

 

 

◆ dについて
d × w/o型乳剤性基剤には親水クリームがあり、皮膚に塗布すると水分が蒸発し、o/w型に転相する。

 

親水クリームはo/w型(水中油型)の乳剤性基剤であり、皮膚に塗布すると水分が蒸発し、w/o型に転相する。
水分の蒸発に伴い、皮膚の冷却効果や消炎効果,鎮痒効果が得られる。
親水クリームはw/o型に転相した後、水を加えると再びo/w型になるので、水洗しやすい。
また、他のo/w型乳剤性基剤としてバニシングクリームがあり、
塗布後、水分蒸発とともに目立たなくなる。

 

関連問題
親水クリームはサラシミツロウを含む? 107回問181の4

 

吸水クリーム(吸水軟膏)は水相を含む乳剤性基剤? 94回問174b

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