坐剤に関する記述 95回薬剤師国家試験問174
95回薬剤師国家試験 問174
坐剤に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a カカオ脂 ( 79% ) +レシチン ( 1% ) +水 ( 20% ) からなる基剤は、o/w 型乳剤性基剤に分類される。
b 直腸上部から吸収される薬物は、肝初回通過効果を受けにくい。
c マクロゴール基剤からの薬物の放出は、主に分泌液中への基剤の溶解に依存する。
d 別に規定するもののほか、製剤均一性試験法に適合する。
e 密閉あるいは気密容器に入れて保存する。
95回薬剤師国家試験 問174 解答解説
◆ aについて
a 〇 カカオ脂 ( 79% ) +レシチン ( 1% ) +水 ( 20% ) からなる基剤は、o/w 型乳剤性基剤に分類される。
カカオ脂 ( 79% ) +レシチン ( 1% ) +水 ( 20% ) からなる基剤は、乳化カカオ脂と呼ばれ、o/w 型乳剤性基剤である。
レシチンは、リン脂質の混合物であり、乳化剤として、o/w型乳剤とw/o型乳剤のいずれの乳剤の生成にも用いられる。
乳化カカオ脂では、レシチンはo/w型乳剤を作る乳化剤として働く。
◆ bについて
b × 直腸上部から吸収される薬物は、肝初回通過効果を受けにくい。
→ 〇 直腸中下部から吸収される薬物は、肝初回通過効果を受けにくい。
直腸中下部から吸収される薬物は、
その多くが門脈を通らずに全身循環静脈血に入るため、
肝初回通過効果を受けにくい。
よって、坐剤により、直腸中下部に投与された薬物は、
肝初回通過効果を受けにくい。
一方、直腸上部から吸収される薬物は、
門脈を通るため、肝初回通過効果を受ける。
◆ cについて
c 〇 マクロゴール基剤からの薬物の放出は、主に分泌液中への基剤の溶解に依存する。
親水性基剤のマクロゴールを用いた坐剤は、
直腸内の分泌液などの水分に溶解または分散し、有効成分を放出する。
一方、ハードファット(ウィテプゾール)等の油脂性基剤を用いた坐剤は、
直腸内の体温により溶融し、有効成分を放出する。
関連問題
ハードファット(ウィテプゾール) を用いた坐剤の特性 100回問279
◆ dについて
d 〇 別に規定するもののほか、製剤均一性試験法に適合する。
製剤均一性試験法は、錠剤,カプセル剤,散剤又は顆粒剤の分包品,坐剤,アンプル入り注射剤等、1個で1回服用量又は複数個で1回服用量の有効成分を含有する製剤に対し、有効成分含量の均一性を保証するものである。
◆ eについて
e 〇 密閉あるいは気密容器に入れて保存する。
坐剤用いる容器は,通例,密閉容器とする。
密閉容器の規定がある場合、気密容器を用いることもできるので、
坐剤の保存には気密容器を用いることもできる。