薬剤師国家試験過去問題集 製剤の種類と特性

日本薬局方製剤総則に関する記述 93回薬剤師国家試験問173

93回薬剤師国家試験 問173
日本薬局方製剤総則に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 顆粒剤のうち、42号 (355μm) ふるいに残留するものが全量の15%以下のものを細粒と称することができる。
b 錠剤を製するとき、溶媒で湿潤させた練合物を一定の型に流し込んで成型した後、適切な方法で乾燥して製することがある。
c 貼付剤は皮膚に粘着させて用いる局所作用型の外用剤であり、有効成分が皮膚を通して全身循環血流に送達すべく設計された製剤は、別の剤形として規定されている。
d トローチ剤は、別に規定するもののほか、溶出試験法又は崩壊試験法に適合する。

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93回薬剤師国家試験 問173 解答解説

 

◆ aについて
a × 顆粒剤のうち、42号 (355μm) ふるいに残留するものが全量の15%以下のものを細粒と称することができる。

 

顆粒剤のうち、製剤の粒度の試験法を行うとき,18号(850 μm)ふるいを全量通過し,30号(500 μm)ふるいに残留するものが全量の10%以下のものを細粒剤と称することができる.

 

なお、顆粒剤のうち,製剤の粒度の試験法を行うとき,18号(850 μm)ふるいを全量通過し,30号(500 μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下の微粒状のものを散剤と称することができる.

 

 

◆ bについて
b 〇 錠剤を製するとき、溶媒で湿潤させた練合物を一定の型に流し込んで成型した後、適切な方法で乾燥して製することがある。

 

bの記述の製造法は湿性法,または,湿性錠剤と呼ばれる。

 

錠剤の製法のうち、湿製法(流し込み成形法)は、
溶媒で浸潤した原料を型に流し込んで成形する方法であり、打錠の工程がない。
そのため、湿製法(流し込み成形法)は、得られる錠剤の硬度が小さく、口腔内崩壊錠(OD錠)などの製造に用いられる。

 

 

◆ cについて
c × 貼付剤は皮膚に粘着させて用いる局所作用型の外用剤であり、有効成分が皮膚を通して全身循環血流に送達すべく設計された製剤は、別の剤形として規定されている。

 

以前の日本薬局方では、貼付剤とは専ら皮膚に粘着させて用いる局所作用型の外用剤だけを指し、有効成分が皮膚を通して全身循環血流に送達すべく設計された経皮吸収型製剤は別の剤形として規定されていた。
しかし、現在の日本薬局方では、貼付剤とは皮膚に貼付する製剤全般を指し、経皮吸収型製剤も貼付剤に含まれている。

 

 

◆ dについて
d × トローチ剤は、別に規定するもののほか、溶出試験法又は崩壊試験法に適合する。
→ 〇 トローチ剤は、溶出試験法又は崩壊試験法に適合するという規定はない。

 

溶出試験,および,崩壊試験が適用されるのは、経口投与して消化管から吸収される製剤である。
トローチ剤は、口腔内で徐々に溶解又は崩壊させ,口腔,咽頭などの局所に適用する口腔用錠剤であり、
口腔内に適応する製剤のうちの口腔内錠剤に分類される。
よって、トローチ剤は、溶出試験,または,崩壊試験は適用されない。

 

なお、口腔内錠剤に分類されるものとして、トローチ剤,舌下錠,バッカル錠,付着錠,ガム剤がある。
口腔内錠剤には、“適切な溶出性又は崩壊性を有する”という規定はあるが、溶出試験法又は崩壊試験法に適合するという規定はない。

 

関連問題
トローチ剤の製造では崩壊剤は用いない 96回問173b

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