光の屈折と相対屈折率とは 90回薬剤師国家試験問16の1,2
90回薬剤師国家試験 問16の1,2,3
図は光が等方性の媒質Aから媒質Bに入るとき、その境界面で進行方向が変わる現象を模式的に示している。
これに関する記述の正誤を判定してみよう。
1 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nはn = sinr/siniで表される。
2 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射角iによらず一定である。
3 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射光の波長によらず一定である。
90回薬剤師国家試験 問16の1,2 解答解説
1 × 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nはn = sinr/siniで表される。
→ 〇 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nはn = sini/sinrで表される。
2 〇 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射角iによらず一定である。
光はある媒質中から他の媒質中に進行するとき、
その境界面で進行方向が変化する。
これを屈折と呼び、
屈折が起こるのは媒質によって光の進行速度が異なるためである。
屈折の程度を表す指標として屈折率がある。
★ 相対屈折率
相対屈折率は下記の式で表される。
相対屈折率 = 入射角の正弦/屈折角の正弦
下の図における媒質Aから媒質Bへの光の入射について、
媒質Aに対する媒質Bの相対屈折率(nAB)は、
入射角iの正弦(sin i)と屈折角rの正弦(sin r)との比で表されるが、
各媒質の光の速度の比や
絶対屈折率の比でも表される。
上式の通り、
相対屈折率は各媒質の光の速度や絶対屈折率の比でも表されることから、
相対屈折率は入射光の入射角iには依存しないといえる。
絶対屈折率については下記のリンク先を参照
絶対屈折率とは 85回問17c
★参考外部サイトリンク
光の屈折の全てが誰でも分かる!(受験のミカタさん)
◆ 3について
3 × 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射光の波長によらず一定である。
→ 〇 媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射光の波長が変われば変化する。
屈折率は測定波長,圧力,温度などで変わる。
測定波長,圧力,温度が一定であれば、屈折率は固有の値となる。
◆ 4について
4 × 日本薬局方一般試験法の屈折率測定法では、通例、温度20℃で、光源としてキセノンランプを用いるよう規定されている。
→ 〇 日本薬局方一般試験法の屈折率測定法では、通例、温度20℃で、光源としてナトリウムスペクトルD線を用いるよう規定されている。
等方性の物質において、波長、温度及び圧力が一定のとき、その屈折率は物質に固有の定数である。
したがって、物質の純度の試験又は均質な2物質の混合物の組成の決定などに用いられる。
日本薬局方一般試験法の屈折率測定法では、
アッベ屈折計を用い空気に対する医薬品の相対屈折率を測定し、温度は20℃で光源としてナトリウムスペクトルD(波長589.3nm)線を用いる。