日焼け止め剤 光線過敏症に予防的に機能するもの 107回薬剤師国家試験問207
107回薬剤師国家試験 問207
薬剤師は患者に対し、光線過敏症の対策として日焼け止め剤の利用を勧めることにした。日焼け止め剤に含まれている化合物のうち、光線過敏症の発症に予防的に機能することが期待されるものとして、適切でないのはどれか。1つ選びなさい。
107回薬剤師国家試験 問207 解答解説
選択肢4の物質(リンゴ酸ジイソステアリル)は、
光線過敏症の発症に予防的に機能することは期待されない。
日焼け止め剤に配合される成分のうち、
光線過敏症の発症に予防的に機能することが期待できるのは、
紫外線反射剤(散乱剤)、紫外線吸収剤、抗酸化物質である。
・紫外線反射剤(散乱剤)
紫外反射剤として利用されるものは酸化亜鉛,酸化チタンなどの金属酸化物であるが、本問の選択肢にはない。
・紫外線吸収剤
長い共役系を持つ化合物は紫外可視領域の光を吸収するため、
紫外線吸収剤として働くことが期待できる。
選択肢のうち、
3のレチノールパルミチン酸エステル(ビタミンA誘導体)と、
5のユビキノール(還元型コエンザイムQ10)は、
長い共役系を持つので、
紫外線吸収剤として働くことが期待できる。
なお、コエンザイムQ10の10はイソプレン単位が10個あることに由来する。
5のユビキノール(還元型コエンザイムQ10)は、
還元剤として働くヒドロキノン構造を有するので抗酸化作用も有する。
なお、ヒドロキノン構造ではなくキノン構造になっているコエンザイムQ10は、
酸化型コエンザイムQ10(ユビキノン)であり、こちらは抗酸化剤として働かない。
キノンとヒドロキノンの酸化還元については下記のリンク先を参照
酸化剤のp-キノンと還元剤のヒドロキノン 96回問6c
・抗酸化物質
1のL-アスコルビン酸(ビタミンC)、
2のトコフェロール酢酸エステル(ビタミンE誘導体)、
5のユビキノール(還元型コエンザイムQ10)は、
抗酸化作用を有し、活性酸素の発生を抑えることで光線過敏症の発症を予防することが期待できる。
選択肢4の物質(リンゴ酸ジイソステアリル)は、
光線過敏症の発症に予防的に機能することは期待されない。