光線過敏症を誘発する電磁波 107回薬剤師国家試験問206
107回薬剤師国家試験 問206
光線過敏症は、体表面に近い部分に分布した薬物が電磁波を吸収することにより誘発される。
光線過敏症を誘発する電磁波に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 キセノンランプが放射する光に含まれる。
2 原子核のスピン遷移に伴い吸収・放射される。
3 水分子の回転運動を直接引き起こす。
4 SPECT やPET に利用される。
5 n−π*遷移やπ−π*遷移を引き起こす。
107回薬剤師国家試験 問206 解答解説
光線過敏症を誘発する電磁波は主に紫外線である。
◆ 1について
1 〇 キセノンランプが放射する光に含まれる。
キセノンランプは紫外可視領域の光を放射する。
なお、キセノンランプは蛍光分光光度計の光源として用いられる。
下記のリンク先を参照
下記のリンク先を参照
蛍光光度法の光源とセル 101回問99の1
◆ 2について
2 × 原子核のスピン遷移に伴い吸収・放射される。
紫外線は外殻電子の電子遷移(電子エネルギーの変化)に伴い吸収・放射される。
なお、原子核のスピン遷移に伴い吸収・放射されるのはラジオ波であり、
NMRやMRIに利用されている。
関連問題
核磁気共鳴スペクトル測定法で利用される電磁波 93回問33a
◆ 3について
3 × 水分子の回転運動を直接引き起こす。
分子の回転遷移(回転エネルギーの変化)を引き起こすのはマイクロ波である。
◆ 4について
4 × SPECTやPETに利用される。
単光子放射型コンピューター断層撮影
(SPECT:Single Photon Emission Computed Tomography)は、67Ga,99mTc,123I,111In,201TIなどのγ線放出核種で標識した放射性医薬品を体内に投与し、
放射されるγ線を検出して体軸横断断層画像を得る。
陽電子放射型断層撮影
(PET:Positron Emission Tomography)は、
11C,13N,15O,18F,68Gaなどの陽電子(β+線)放出核種で標識した放射性医薬品を体内に投与し、
放射されたβ+線が近くの自由電子(β−線)と結合し、
消滅する際に互いに180°の方向に放射される1対のγ線(消滅γ線)を検出して体軸横断断層画像を得る。
◆ 5について
5 〇 n−π*遷移やπ−π*遷移を引き起こす。
紫外可視領域の光の吸収は、
主に二重結合,三重結合のπ→π*遷移によるものであるが、
n→π*遷移によるものもある。