紫外可視吸収と電子遷移 95回問34c
95回薬剤師国家試験 問34c
分光学的測定法に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
c L-トリプトファンの紫外吸収スペクトルは、インドール環σ電子の基底状態から励起状態への電子遷移を観測している。
95回薬剤師国家試験 問34c 解答解説
c × L-トリプトファンの紫外吸収スペクトルは、インドール環σ電子の基底状態から励起状態への電子遷移を観測している。
→ 〇 L-トリプトファンの紫外吸収スペクトルは、インドール環π電子の基底状態から励起状態への電子遷移を観測している。
紫外可視吸光度測定法は,
外殻電子の基底状態から励起状態への電子遷移(電子エネルギーの変化)に伴い紫外可視領域の光が吸収される現象を利用する。
紫外可視領域の光の吸収は、
主に二重結合,三重結合のπ→π*遷移によるものであるが、
n→π*遷移によるものもある。
π→π*遷移とは、結合性π軌道の最高被占軌道(HOMO)の電子が反結合性π軌道の最低被占軌道(LUMO)へ励起することである。
n→π*遷移とは、非共有電子対の電子が反結合性π軌道の最低被占軌道(LUMO)へ励起することである。
なお、σ→σ*遷移は単結合性の電子遷移であるが、
これは10〜200nmの遠紫外領域の光の吸収に伴うものである。
紫外可視吸収スペクトルの縦軸(吸光度)は電子遷移が起こる確率、横軸(波長)は、その遷移が起こるエネルギーの大きさを示す。