88回薬剤師国家試験問31 モル吸光係数の単位,吸光度から濃度計算
88回薬剤師国家試験 問31
次の文章中の[ ]に入る字句について、正しい組合せはどれか。
ランベルト-ベールの法則によると、吸光度(A)は光の透過距離(l cm)と物質の濃度(c mol L-1)に比例する。
比例定数をεとすると、A、c及び εの関係は式[ a ]で表される。
この比例定数 εは[ b ]とよばれ、単位は[ c ]である。
ある有機化合物の紫外部吸収スペクトルは360 nmに
の吸収極大を示した。
光の透過距離1.0 cmのセルを用いて、この化合物の紫外部吸収スペクトルを測定したところ、
同じ波長における吸光度は0.66であった。この濃度は[ d ]mol L-1である。
a b c d
1 A=εcl 比吸光度 cm mol L 3.3×10-4
2 A=εcl モル吸光係数 cm-1 mol-1 L 3.3×10-5
3 ε=Acl 透過度 cm mol -1 L -1 3.3×10-6
4 ε=Acl モル吸光係数 cm-1 mol -1 L 3.3×10-3
5 A=εcl モル吸光係数 mol -1 L 3.3×10-5
88回薬剤師国家試験 問31 解答解説
正解は2である。
◆ a,b,cについて
ランベルト・ベール(Lambert-Beer)の法則については、
下記のリンク先を参照
ランベルト-ベールの法則とは
問題文は下記のようになる。
「ランベルト-ベールの法則によると、吸光度(A)は光の透過距離(l cm)と物質の濃度(c mol L-1)に比例する。
比例定数をεとすると、A、c及び εの関係は式[ a: A=εcl ]で表される。
この比例定数 εは[ b:モル吸光係数 ]とよばれ、単位は[ c:cm-1 mol-1 L ]である」
・モル吸光係数の単位について
モル吸光係数(ε)とは、層長が1 cm、試料物質の濃度が1 mol/Lのときの吸光度であるため、
A = ε・c・l の式に
c= 1 mol/L および l= 1cm を代入すると、
A = ε・1p・1 mol/L
吸光度Aは無次元であるので、
モル吸光係数(ε)の単位はcm-1 mol-1 Lである。
◆ [ d ]について
問題文は下記の通り。
「ある有機化合物の紫外部吸収スペクトルは360 nmに
の吸収極大を示した。
光の透過距離1.0 cmのセルを用いて、
この化合物の紫外部吸収スペクトルを測定したところ、
同じ波長における吸光度は0.66であった。
この濃度は[ d ]mol L-1である」
[ d ]の計算について、
A = ε・c・l の式に
与えられた数値を代入して濃度cを求める。