93回薬剤師国家試験問32 メチルプレドニゾロンの定量法 紫外可視吸光度測定法

93回薬剤師国家試験 問32

 

日本薬局方メチルプレドニゾロン (C22H30O5:374.47) の定量法に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
本品を乾燥し、その約10mgを精密に量り、メタノールに溶かし、正確に100mLとする。
この液5mLを正確に量り、メタノールを加えて正確に50mLとする。
この液につき、層長1cmのセルを用いて、紫外可視吸光度測定法により試験を行い、
波長243nm付近の吸収極大の波長における吸光度Aを測定する。

 

 メチルプレドニゾロン (C22H30O5)の量 (mg) =A/400×10000

 

ただし、400は波長243nm付近の吸収極大の波長におけるメチルプレドニゾロンの比吸光度である。

 

a この定量法において、メチルプレドニゾロンの標準品は必要ではない。
b 波長243nm付近の吸収極大の波長におけるメチルプレドニゾロンのモル吸光係数は、おおよそ15000である。
c 層長0.5cmのセルを用いて吸光度を測定した場合、上記計算式中の係数は10000ではなく20000である。

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93回薬剤師国家試験 問32 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 この定量法において、メチルプレドニゾロンの標準品は必要ではない。

 

設問の定量法のように、あらかじめ比吸光度(E 1%1cm)またはモル吸光係数(ε)がわかっている場合、標準品は必要ではない。
検量線法で定量する場合には標準品が必要となる。

 

 

◆ bについて
b 〇 波長243nm付近の吸収極大の波長におけるメチルプレドニゾロンのモル吸光係数は、おおよそ15000である。

 

モル吸光係数と比吸光度については下記のリンク先を参照
モル吸光係数,比吸光度とは 96回問33d

 

試料の分子量をMとすると、
モル吸光係数と比吸光度の関係について、
次式が成り立つ。

 

93回薬剤師国家試験問32 メチルプレドニゾロンの定量法 紫外可視

 

メチルプレドニゾロンの分子量は374.47、
メチルプレドニゾロンの波長243 nmの比吸光度(E 1%1cm)は400であることから、
メチルプレドニゾロンの波長243 nmのモル吸光係数(ε)は下記のように計算できる。

 

93回薬剤師国家試験問32 メチルプレドニゾロンの定量法 紫外可視

 

 

◆ cについて
c 〇 層長0.5 cmのセルを用いて吸光度を測定した場合、上記計算式中の係数は10000ではなく20000である。

 

本問では、ランベルト-ベールの法則を用いる。
下記のリンク先を参照
ランベルト-ベールの法則とは

 

ランベルト-ベールの法則の式において、
濃度をw/v%,層長(光路長)をcmで用いる場合、
比例定数には比吸光度(E 1%1cm)が適用され、
次式が成り立つ。

 

A = (E 1%1cm)・c(w/v%)・l(cm)
または
A = (E 1%1cm)・c(g/100mL)・l(cm)

 

試料中のメチルプレドニゾロンの量をxgとおき、
上記のランベルト-ベールの法則の式に与えられた数値を代入して
x=の式に変換すればよい。

 

試料溶液の濃度について問題文に、
「本品を乾燥し、その約10mgを精密に量り、メタノールに溶かし、正確に100mLとする。
この液5mLを正確に量り、メタノールを加えて正確に50mLとする。」
とある。
濃度をg/100mLで求めると、

 

93回薬剤師国家試験問32 メチルプレドニゾロンの定量法 紫外可視

 

よって、濃度cにはx/10を代入する。
層長は0.5 cm,比吸光度は400であるので、

 

93回薬剤師国家試験問32 メチルプレドニゾロンの定量法 紫外可視

 

したがって、
層長0.5 cmのセルを用いて波長243nm付近の吸光度を測定した場合、
メチルプレドニゾロンの量 (mg)の計算式は、

 

メチルプレドニゾロン (C22H30O5)の量 (mg) =A/400×20000

 

となる。

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