弱塩基性物質の分配比とpH・pKaの関係
本ページでは、弱塩基性物質の分配比(見かけの分配係数)について解説しています。
☆ 弱塩基性物質の分配比D(見かけの分配係数)
分子形・イオン形などの
複数の化学種になり得る物質の分配平衡について、
分配比D(見かけの分配係数)という指標が下記のように定められる。
添え字のwは水相,oは有機相を表す。
全濃度というのは全ての化学種の濃度の総和である。
弱塩基性物質の分配比Dについて述べる。
ある弱塩基性物質Bは次のように解離し、分子形Bと陽イオン形BH+になるとする。
分子形とイオン形の2種の化学種になり得る電解質の分配比D(見かけの分配係数)について、次式が成り立つ。
ここで、有機相には分子形のみが分配されイオン形は分配されないとすると、弱塩基性物質Bの分配比D(見かけの分配係数)について、次式が成り立つ。
ここで、Aの酸塩基平衡について、
共役酸BH+の酸解離定数Kaについて次が成り立つ。
平衡状態では、(4)式に(5)式を代入することで、
次式が成り立つ。
ここで、
pH=−log[H+] より −pH=log[H+]
および
pKa=−logKa より −pKa=logKa
よって、
(6)式は、弱塩基性物質Bにおける、
真の分配係数KD,分配比D,pH,BH+のpKaの関係式である。
(6)式に
pH = 共役酸BH+のpKa
を代入すると、
よって、
言い換えると、
なお、弱酸性物質の分配比については、
下記のリンク先を参照
弱酸性物質の分配比