硫酸バリウム飽和溶液に硫酸ナトリウムを加える 103回薬剤師国家試験問3

第103回薬剤師国家試験 問3
硫酸バリウムの飽和水溶液に硫酸ナトリウムを加えるとき、硫酸バリウムの沈殿が生じやすくなる現象に最も関連するのはどれか。1つ選びなさい。

 

1 過飽和現象
2 共通イオン効果
3 異種イオン効果
4 重原子効果
5 水平化効果

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第103回 薬剤師国家試験 問3 解答解説
正解は2の共通イオン効果である。

 

難溶性塩の飽和溶液に共通イオンを加えると、難溶性塩の溶解度が著しく減少することを共通イオン効果と呼ぶ。
硫酸バリウム(BaSO4)の飽和溶液にはBa2+とSO4 2-が存在している。そこへ硫酸ナトリウム(Na2SO4)を加えると、SO4 2-が共通イオンとして加わることになるので、共通イオン効果により、硫酸バリウム(BaSO4)の溶解度が減少して沈殿が生じやすくなる。

 

なお、選択肢3の異種イオン効果とは、溶液中に沈殿物と無関係なイオンが多量に存在すると、沈殿物の溶解度が増加することである。
異種イオン効果の例として、難溶性塩AgClの沈殿が存在する飽和溶液に、硝酸HNO3や硫酸H2SO4を添加してNO3−とSO4 2−というAgClが解離して生成するイオン(Ag+とCl−)とは異なるイオンを存在させると、沈殿しているAgClの溶解度が増大する。

 

以下、他の選択肢について解説。

 

◆ 1.過飽和現象について
過飽和とは、溶解度以上に溶質が溶けた状態のことを指す。

 

下記のリンク先を参照
詳しくは下記のリンク先を参照

 

過飽和 日本薬学会さん

 

 

◆ 4.重原子効果について
ある化合物の蛍光・りん光の発光において、ハロゲンや金属などの重い原子がスピン-軌道相互作用増強し、蛍光・りん光スペクトルに影響を与えることを重原子効果と呼ぶ。重原子効果により、蛍光の消失またはりん光の増強が見られる。
分析対象の化合物内の重原子によるものを内部重原子効果と呼び、溶媒(媒質)の重原子によるものを外部重原子効果と呼ぶ。

 

 

◆ 5.水平化効果について

 

下記のリンク先を参照
水平化効果とは?

 

 

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103回問3(e-RECさん)

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