M(OH)2の沈殿が生成し始めるpH 109回薬剤師国家試験問94
109回薬剤師国家試験 問94
ある2価の金属イオンM2+の0.01mol/L 水溶液のpH を上げていくと難溶性塩M(OH)2が沈殿する。この沈殿が生成し始めるpHに最も近い値はどれか。1つ選びなさい。
ただし、M(OH)2の溶解度積Ksp = 2.0×10−20(mol/L)3、
水のイオン積Kw =[H+][OH−]= 1.0×10−14(mol/L)2、log 2 = 0.30とし、
ヒドロキソ錯体の生成などの副反応は起こらず、水溶液の温度と体積は変化しないものとする。
1 3
2 5
3 7
4 9
5 11
109回薬剤師国家試験 問94 解答解説
正解は選択肢2の5である。
2価の金属イオンM2+の難溶性塩M(OH)2の飽和水溶液では、
下記の沈殿平衡が成立している。
上式において、[M(OH2)(固体)]を一定値とし、
次のように変形する。
K・[M(OH)2)(固体)] = [M2+]・[OH−]2 = Ksp
KspをM(OH)2の溶解度積という。
Ksp(溶解度積)は、一定温度で物質に固有の値である。
M2+とOH−の濃度の積と、Ksp(溶解度積)を比較することにより、
沈殿が生成するか否か予測することができる。
(1)[M2+]・[OH−]2 > Ksp の場合
沈殿が生成する。
(2)[M2+]・[OH−]2 = Ksp の場合
飽和溶液であるが、沈殿は生成しない(沈殿が生じるか、生じないかの境界線)。
(3)[M2+]・[OH−]2 < Ksp
沈殿が生成しない。
本問では、M2+の0.01mol/L水溶液について、pHを上げていったとき、
M(OH)2の沈殿が生成し始めるpHを求める。
そのpHは、[M2+]・[OH−]2 = Ksp となる時のpHに等しい。
よって、求めるpHは、以下のように計算できる。
Kw =[H+][OH−]= 1.0×10−14(mol/L)2より、
pH + pOH = 14
pH = 14−pOH = 14−8.85 = 5.15
したがって、pHが5.15を超えると、
M(OH)2の沈殿が生成すると考えられる。
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