AgClの溶解度とNaNo3添加によるイオン強度の増大 101回薬剤師国家試験問94の2
101回薬剤師国家試験 問94の2
水溶液中のイオン間相互作用に関する記述の正誤を判定してみよう。
2 難溶解性塩であるAgClの溶解度は、NaNO3の添加によるイオン強度の増大とともに増大する。
101回薬剤師国家試験 問94の2 解答解説
2 〇 難溶解性塩であるAgClの溶解度は、NaNO3の添加によるイオン強度の増大とともに増大する。
難溶性塩の溶解度について、溶液中に難溶性塩と無関係なイオンが多量に存在すると、
難溶性塩の溶解度が増加する現象を、異種イオン効果と呼ぶ。
難溶性塩AgClの沈殿が存在する飽和溶液に、NaNO3を添加することを考える。
この添加により、AgClが解離して生成するイオン(Ag+とCl−)とは無関係な、
Na+とNO3−という異種イオンが多量に存在するようになると、
溶液のイオン強度が増大し、Ag+とCl−の平均活量係数が1より小さくなり、
AgClの溶解度が増大する。
あるイオンを中心に、それと反対符号を持つイオンが取り囲む構造をイオン雰囲気と呼ぶ。
異種イオンの添加により、溶液のイオン強度が増大すると、イオン雰囲気が増大し、
Ag+とCl−の結合が抑制され、AgClの溶解度が上昇すると考えられる。