難溶性塩の溶解度と溶解度積の計算 90回薬剤師国家試験問19

90回薬剤師国家試験 問19
ある難溶性塩MX2(分子量500)は、水中で解離し、次式のような平衡状態にある。
 (MX2)solid ⇄  M2+ + 2X

 

MX2は水1.0 Lに最大1.0 mg溶解した。
その場合の溶解度 (mol/L) と溶解度積の正しい組合せはどれか。

 

難溶性塩の溶解度と溶解度積の計算 薬学 薬剤師国家試験90回問19

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90回薬剤師国家試験 問19 解答解説

 

正解は選択肢5の
溶解度:2.0×10−6(mol/L)
溶解度積:3.2×10−17(mol/L)3
である。

 

◆ MX2の溶解度について

 

溶解度とは、一定量の溶媒に溶ける溶質の最大量であるが、
溶質が難溶性塩の場合、飽和溶液の時の濃度で表される。

 

問題文に、「MX2の分子量は500」,
「MX2は水1.0 Lに最大1.0 mg溶解した」とあるので、
MX2の溶解度(mol/L)は次のように計算できる。

 

難溶性塩の溶解度と溶解度積の計算 薬学 薬剤師国家試験90回問19

 

 

◆ MX 2の溶解度積について

 

難溶性塩MX2の飽和溶液では、
下記の沈殿平衡(溶解平衡)が成立している。
MX2(固体) ⇄  MX2(溶解)

 

溶解したMX2は、下記のように完全に電離する。
MX2(溶解) → M2+ + 2X

 

以上をまとめると、MX2の沈殿平衡は、次のように記される。
MX2(固体) ⇄  M2+ + 2X

 

上記の沈殿平衡の平衡定数Kについて次式が成り立つ。

 

難溶性塩の溶解度と溶解度積の計算 薬学 薬剤師国家試験90回問19

 

上式において、[MX2(固体)]を一定値とし、
次のように変形する。

 

K・[MX2(固体)] = [M2+]・[X2 = Ksp

 

KspをMX2の溶解度積という。
Ksp(溶解度積)は、一定温度で物質に固有の値である。

 

本問では、共存イオンの影響等を考慮する必要のない、MX2の飽和溶液である。
この飽和溶液におけるMX2の溶解度をS(mol/L)とおくと、
溶液中の各イオン濃度(mol/L)は、下の図のように表せる。

 

難溶性塩の溶解度と溶解度積の計算 薬学 薬剤師国家試験90回問19

 

以上より、本問の溶液におけるMX2の溶解度積(Ksp)と溶解度(S mol/L)の関係式は、以下のように表される。
Ksp = [M2+]・[X2 より、
Ksp = S (mol/L)・(2・S mol/L)2
Ksp = 4S3 (mol/L)3

 

ここで、S = 2.0×10−6 より、
Ksp = 4・(2.0×10−6)3 (mol/L)3
Ksp = 3.2×10−17 (mol/L)3

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