Ag2CrO4の溶解度と溶解度積の関係式 薬剤師国家試験97回問3
第97回薬剤師国家試験 問3
Ag2CrO4の溶解度がS (mol/L)であるとき、溶解度積(Ksp)と溶解度の関係式として、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
第97回薬剤師国家試験 問3 解答解説
正解は
である。
下の図は本問のAg2CrO4の飽和溶液の沈殿平衡(溶解平衡)の様子と溶解度積(Ksp)を表す。
青字の数字は各イオン濃度(mol/L)である。
以下、詳細
本問は沈殿平衡における、難溶性塩の溶解度および溶解度積に関する問題である。
難溶性塩MxAyの飽和溶液では、
下記の溶解平衡が成立している。
MxAyの飽和溶液の溶解平衡は次のように表せる。
上記の溶解平衡の平衡定数Kについて次式が成り立つ。
固体の濃度は一定とみなせる。
よって、上記のKにおいて、 [MxAy(固体)]を一定値とし、K×[MxAy(固体)]=Kspと定める。
KspをMxAyの溶解度積と呼ぶ。
MxAyの飽和溶液において、溶解度積Kspについて次式が成り立つ。
そのMxAyの飽和溶液における各イオンの濃度である。
難溶性塩MxAyの溶解度をCsat(mol/L)とすると、
MxAyの飽和溶液の沈殿平衡の様子と溶解度積(Ksp)は下図のようになる(ただし、共存イオンの影響等は考慮していない)。青字の数字は各イオン濃度(mol/L)である。
以上のことを本問のAg2CrO4の溶解平衡に適用する。
難溶性塩Ag2CrO4の飽和溶液の溶解平衡は次のように表せる。
Ag2CrO4の溶解度積Kspについて次式が成り立つ。
本問のAg2CrO4の飽和溶液における各イオンの濃度であるが、
本問のAg2CrO4溶液中では、共通イオン効果などの共存イオンの影響等を考慮しなくてもよいと考えられる。
よって、Ag2CrO4の溶解度がS(mol/L)であるとのことから、反応式より、
であると考えられる。
したがって、本問のAg2CrO4飽和溶液において、
Ag2CrO4の溶解度積kspについて次式が成り立つ。
以上より、
本問のAg2CrO4の飽和溶液の沈殿平衡の様子と溶解度積(Ksp)は下図のようになる。
青字の数字は各イオン濃度である。
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沈殿平衡(溶解度と溶解度積)(薬学、これでOK!さん)
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97回問3(薬学、これでOK!さん)