互いに混ざり合わない2つの液相間における分配平衡 98回薬剤師国家試験問94

第98回薬剤師国家試験 問94
互いに混ざり合わない2つの液相間における分配平衡に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 溶質の分配係数は、溶け込んでいる溶質の濃度に比例して大きくなる。

 

2 一定温度、一定圧力下での分配係数は、それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャル差により決まる。

 

3 有機相と水相を利用した親油性化合物の抽出では、誘電率の高い有機溶媒の方が抽出率は高い。

 

4 それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャルが温度に依らず一定の時、定圧下で液相の温度を上昇させると、分配係数は低下する。

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薬剤師国家試験過去問解答解説の科目別まとめ

 

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第98回薬剤師国家試験 問94 解答解説

 

◆ 1について
1 × 溶質の分配係数は、溶け込んでいる溶質の濃度に比例して大きくなる。
→ 〇 溶質の分配係数は、溶け込んでいる溶質の濃度によって変化しない。

 

分配係数KDは、使用する溶媒,温度,圧力が一定ならば、溶質の化学種ごとに固有の一定値を示す。

 

詳細は下記のリンク先を参照
98回問94の1

 

 

◆ 2について
2 〇 一定温度、一定圧力下での分配係数は、それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャル差により決まる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
分配平衡と化学ポテンシャル 87回問16ac

 

 

◆ 3について
3 × 有機相と水相を利用した親油性化合物の抽出では、誘電率の高い有機溶媒の方が抽出率は高い。
→ 〇 有機相と水相を利用した親油性化合物の抽出では、誘電率の低い有機溶媒の方が抽出率は高い。

 

極性と比誘電率の関係について、大まかにいうと、
極性が大きい溶媒(水)は比誘電率が大きく、
極性が小さい溶媒(油)は比誘電率が小さい。

 

したがって、溶質の極性と分配の関係について、下記のように考えられる。

 

・溶質の極性が大きく親水性が大きいほど、極性が大きい(比誘電率が大きい)溶媒に多く分配される。

 

・溶質の極性が小さく親油性が大きい(疎水性が大きい)ほど、極性が小さい(比誘電率が小さい)溶媒に多く分配される。

 

 

★ 参考外部サイトリンク
誘電率とは?ざっくり解説(化学ネットワークさん)

 

有機溶媒の極性 誘電率 沸点 水溶性の一覧まとめ(ネットdeカガクさん)

 

 

◆ 4について
4 × それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャルが温度に依らず一定の時、定圧下で液相の温度を上昇させると、分配係数は低下する。

 

→ 〇 それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャルが温度に依らず一定の時、定圧下で液相の温度を上昇させると、分配係数は系によって上昇する場合もあればと低下する場合もある。

 

詳細は下記のリンク先を参照
98回問94の4

 

 

★参考外部サイトリンク
分配平衡(yakugaku labさん)

 

★他サイトさんの解説へのリンク
98回問94(yakugaku labさん)

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