薬物の尿細管分泌に関与する一次性能動輸送体 100回薬剤師国家試験問44
100回薬剤師国家試験 問44
腎尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在し、薬物の尿細管分泌に関与する一次性能動輸送体はどれか。1つ選びなさい。
100回薬剤師国家試験 問44 解答解説
腎尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在し、
薬物の尿細管分泌に関与する一次性能動輸送体は、
選択肢5のP-糖タンパク質である。
腎尿細管上皮細胞刷子縁膜とは、
尿細管上皮細胞の尿細管管腔側の細胞膜のことを指す。
腎尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在する一次性能動輸送体は、
ATPの加水分解エネルギーを直接利用し、
濃度勾配または電気化学ポテンシャル勾配に逆らい、
薬物の細胞内から尿細管管腔への排出を行う。
腎尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在する一次性能動輸送体として、
以下のものが挙げられる。
・P-糖タンパク質(MDR:multidrug resistance protein )
・MRP(multidrug resistance-associated protein)
・BCRP (breast cancer resistant protein)
選択肢1のH +/ペプチド共輸送体(peptide transporter,PEPT)は、H+の濃度勾配を利用し、H+とペプチドの共輸送を行う二次性能動輸送担体であり、腎臓では尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在し、原尿中のペプチドや薬物の細胞内への再吸収を担う。
選択肢2のNa+,K+ ATPaseは、ATPの加水分解エネルギーを直接利用し、
3つのNa+を細胞内から細胞外に出し、2つのK+を細胞外から細胞内に入れる一次性能動輸送体であり、腎臓では尿細管上皮細胞側底膜(血管側の細胞膜)に存在する。
選択肢3のH +/有機カチオン逆輸送体は、H+の濃度勾配を利用し、H+と有機カチオンの逆輸送を行う二次性能動輸送担体である。
腎臓のH +/有機カチオン逆輸送体として、MATE1,または,MATE2-Kがあり、尿細管上皮細胞刷子縁膜(尿細管管腔側膜)に存在し、原尿中のH+を細胞内に入れ、細胞内の有機カチオンを原尿中に排出しており、有機カチオン系薬物の尿細管分泌を担う。
なお、MATEとは、multidrug and toxic compound extrusionの略である。
選択肢4のNa+/グルコース共輸送体(sodium glucose co-transporter, SGLT)は、
Na+の濃度勾配を利用し、Na+とグルコースの共輸送を行う二次性能動輸送担体であり、腎臓では尿細管上皮細胞刷子縁膜に存在し、原尿中のグルコースの細胞内への再吸収を担う。
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