薬物の腸肝循環に関する記述 107回薬剤師国家試験問173

107回薬剤師国家試験 問173
薬物の腸肝循環に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 胆管閉塞で血中半減期が短縮する。
2 抗菌薬の内服による影響を受けることがある。
3 静脈内投与された薬物では起こらない。
4 腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が延長する。
5 経口投与後の血中濃度において、ピークが二峰性を示すことがある。

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107回薬剤師国家試験 問173 解答解説

 

◆ 3,5について
3 × 静脈内投与された薬物では起こらない。

 

5 ○ 経口投与後の血中濃度において、ピークが二峰性を示すことがある。

 

薬物の腸管循環とは、
薬物が肝実質細胞内から胆管の胆汁中に排泄され、
胆汁に乗って小腸に排泄され、小腸から再度吸収され、
門脈を経て肝臓に戻ることを指す。

 

静脈内投与された薬物でも、
血中から肝実質細胞内に取り込まれ、胆汁排泄されるので、
腸管循環が起こり得る。

 

腸管循環する薬物の経口投与後の血中濃度について、
最初に吸収された分によるピークの他に、
腸管循環により再吸収された分によるピークも現れる。

 

 

◆ 1について
1 × 胆管閉塞で血中半減期が短縮する。

 

腸管循環する薬物では、
胆管閉塞により、薬物の胆汁中排泄が低下し、
血中半減期が延長する場合がある。

 

 

◆ 2,4について
2 ○ 抗菌薬の内服による影響を受けることがある。

 

4 × 腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が延長する。
→ 〇 腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が短縮する。

 

薬物の腸管循環の様式の1つとして、
肝細胞内でグルクロン酸抱合を受けて水溶性が高まり、
胆汁中に排泄され、
小腸で腸内細菌がもつβ-グルクロニダーゼにより、
グルクロン酸抱合が脱抱合され、脂溶性が高まり、
小腸から再吸収されることがある。
このような薬物では、抗菌薬の内服で腸内細菌が減少したり、
腸内細菌がもつβ-グルクロニダーゼが阻害されると、
小腸でのグルクロン酸抱合の脱抱合が抑制され、
再吸収が抑制されるので、
薬物の血中半減期は短縮する。

 

 

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