尿細管分泌クリアランスの計算 105回薬剤師国家試験問172
105回薬剤師国家試験 問172
ある薬物を患者に点滴静注により持続投与中である。定常状態における血中薬物濃度は5.0 ng/mL であり、定常状態到達時にいったん完全に排尿し、5時間後に再度排尿した尿の総量は300 mL、尿中薬物濃度は180 ng/mL であった。この患者における糸球体ろ過速度を120 mL/min、薬物の尿細管再吸収率を20％、血中非結合形分率を0.20としたとき、この薬物の尿細管分泌クリアランス（mL/min）に最も近い値はどれか。1つ選びなさい。
1 10
2 20
3 150
4 600
5 2500
105回薬剤師国家試験 問172 解答解説
この薬物の尿細管分泌クリアランスに最も近い値は、
選択肢2の20（mL/min）である。
薬物の腎クリアランス（CLr）とは、
腎臓で単位時間当たりに処理される薬物を含む血漿量であり、
腎臓で単位時間当たりに消失する薬物量を血漿量で表したものである。
腎クリアランス（CLr）は、
薬物の尿中排泄速度を血漿中薬物濃度（Cp）で除することで求められる。
薬物の尿中排泄速度dXu/dt(mg/min)は、
次式で表される。
U：尿中薬物濃度 V：単位時間当たりの尿量
Cp：血漿中薬物濃度 fp：血漿中非結合形分率
GFR：糸球体ろ過速度
S：尿細管分泌速度 R：再吸収率
よって、薬物の腎クリアランス（CLr）について、
次式が成り立つ。
U：尿中薬物濃度 V：単位時間当たりの尿量
Cp：血漿中薬物濃度 fp：血漿中非結合形分率
GFR：糸球体ろ過速度
CLs：尿細管分泌クリアランス R：再吸収率
上式を用い、薬物の尿細管分泌クリアランス（CLs）を求める。
定常状態における血中薬物濃度は5.0 ng/mL、
5時間の尿の総量は300 mL (300mL/5hr)なので、
単位時間当たりの尿量は1mL/min、
尿中薬物濃度は180 ng/mL、糸球体ろ過速度(GFR)は120 mL/min、
薬物の尿細管再吸収率は20％、血中非結合形分率は0.20である。
異常の数値を上式に代入することにより、
CLs(mL/min)が求められる。
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