薬物の血漿中濃度に対する尿中排泄速度と腎クリアランスの関係 99回薬剤師国家試験問170
99回薬剤師国家試験 問170
次のグラフのうち、薬物の血漿中濃度に対する尿中排泄速度(dXu/dt)及び腎クリアランス(CLr)の関係が正しく示されているのはどれか。2つ選びなさい。
99回薬剤師国家試験 問170 解答解説
薬物の血漿中濃度に対する尿中排泄速度(dXu/dt)及び腎クリアランス(CLr)の関係が正しく示されているのは、選択肢2と3のグラフである。
尿中排泄速度と腎クリアランスの関係式より、
選択肢2と3が正解だと判断できる。
薬物の尿中排泄速度dXu/dt(mg/min)は、
次式で表される。
U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
S:尿細管分泌速度 R:再吸収率
薬物の腎クリアランス(CLr)とは、
腎臓で単位時間当たりに処理される薬物を含む血漿量であり、
腎臓で単位時間当たりに消失する薬物量を血漿量で表したものである。
腎クリアランス(CLr)は、
薬物の尿中排泄速度を血漿中薬物濃度(Cp)で除することで求められる。
U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
CLs:分泌クリアランス R:再吸収率
◆ 2のグラフについて
選択肢2は、薬物の尿中排泄速度が血漿中濃度に比例する場合である。
このような動態を示す薬物として、
糸球体で自由にろ過され、糸球体ろ過のみで消失し、
尿細管分泌も尿細管再吸収も受けない薬物が挙げられる。
このような動態を示す物質として、イヌリンがある。
◆ 3のグラフについて
選択肢3は、薬物が糸球体ろ過と尿細管分泌により消失する場合であり、
この場合、尿細管分泌過程の飽和現象により、腎排泄が非線形性を示す。
糸球体ろ過と尿細管分泌により消失する薬物の尿中排泄速度について、
血漿中濃度の上昇に伴い、
尿細管分泌に関与するトランスポーターが混み合ってくるため、
尿細管分泌速度の上昇が鈍化し、尿中排泄速度の上昇が鈍化する。
血漿中濃度が高くなり、尿細管分泌過程が飽和すると、
血漿中濃度の上昇に対して、尿細管分泌速度は上昇しなくなり、
糸球体ろ過速度だけが上昇する。
腎クリアランスについては、血漿中濃度の上昇に対して、
尿細管分泌過程の飽和現象のため、
尿細管分泌クリアランスは低下し、
糸球体ろ過クリアランスは一定のため、
腎クリアランスは低下する。
このような動態を示す物質として、パラアミノ馬尿酸がある。
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