腎クリアランスからの血漿タンパク非結合率の計算 109回薬剤師国家試験問172

109回薬剤師国家試験 問172
線形1-コンパートメントモデルに従い、
肝代謝と腎排泄によってのみ体内から消失する薬物Aを、
ある患者に急速静注したときの体内動態データを以下に示す。
この患者の糸球体ろ過速度(GFR)を120mL/minとしたとき、
薬物Aの血漿タンパク非結合率に最も近い値はどれか。1つ選びなさい。
ただし、薬物Aは腎尿細管で分泌・再吸収を受けず、
血漿タンパク非結合形のみが糸球体でろ過されるものとする。

 

109回薬剤師国家試験問172 薬物Aの血漿タンパク非結合率に最も近い値はどれか

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109回薬剤師国家試験 問172 解答解説

 

薬物Aの血漿タンパク非結合率に最も近い値は、
選択肢4の0.08である。

 

薬物の腎クリアランス(CLr)は次式で表される。

 

CLr = (fp・GFR + CLs)・(1−R)        

 

Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿タンパク非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
CLs:分泌クリアランス R:再吸収される割合

 

上式のfp・GFRは、糸球体ろ過クリアランスと呼ばれる。

 

薬物Aは腎尿細管で分泌・再吸収を受けないので、
薬物Aの腎クリアランスは、糸球体ろ過クリアランスに等しく、
次式が成り立つ。

 

CLr = fp・GFR

 

 

静注では、薬物の腎クリアランスについて次式が成り立つ。

 

CLr = CLtot・Ae

 

CLtot:全身クリアランス
Ae:未変化体として尿中に排泄される割合

 

静注では、薬物の全身クリアランスについて次式が成り立つ。

 

109回薬剤師国家試験問172 薬物Aの血漿タンパク非結合率に最も近い値はどれか

 

静注投与量10mgに対して、
未変化体の尿中総排泄量は1.2mgであるので、
Aeは1.2/10 = 0.12 である。

 

よって、薬物Aの腎クリアランスは、次のように計算される。

 

CLr = CLtot・Ae
CLr = 5L/h・0.12 = 0.6 L/h

 

以上より、薬物Aの血漿タンパク非結合率(fp)は、
次のように計算される。

 

CLr = fp・GFR より、
fp = CLr/GFR
fp = 0.6 L/h /120mL/min
fp = 0.083

 

 

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