薬物の胆汁中排泄に関する記述 95回薬剤師国家試験問158

95回薬剤師国家試験 問158
薬物の胆汁中排泄に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。

 

1 肝細胞の胆管側膜に存在するトランスポーターの多くは、促進拡散により薬物を胆汁中に排泄する。
2 プラバスタチンは、胆管側膜に存在するMRP2(Multidrug resistance-associatedprotein2)により胆汁中に排泄される。
3 胆汁は肝細胞から毛細胆管内に分泌された後、総胆管を経て十二指腸内に分泌される。
4 グルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された薬物は、腸肝循環する際には腸内細菌の酵素による分解を受け、極性が増大している。

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95回薬剤師国家試験 問158 解答解説

 

◆ 1について
1 × 肝細胞の胆管側膜に存在するトランスポーターの多くは、促進拡散により薬物を胆汁中に排泄する。
→ 〇 肝細胞の胆管側膜に存在するトランスポーターの多くは、能動輸送により薬物を胆汁中に排泄する。

 

薬物の胆汁中排泄は、
薬物が血中から肝実質細胞内に取り込まれ、
未変化体のまま、または、代謝を受けた後、
毛細胆管中に排泄されるという流れで行われる。

 

肝実質細胞内から毛細胆管を流れる胆汁中への薬物輸送機構は、
多くの場合、トランスポーターを介した能動輸送である。

 

肝実質細胞の胆管側細胞膜上に発現し、物質の胆汁中排泄を担う担体は、
主にATPの加水分解エネルギーを直接利用した輸送である一次性能動輸送を行うトランスポータである。
具体的には、P糖タンパク質(MDR),
Multidrug Resistance-associated Protein 2(MRP2),
Breast Cancer Resistant Protein(BCRP),
Bile Salt Export Pump(BSEP)などがある。

 

 

◆ 2について
2 ○ プラバスタチンは、胆管側膜に存在するMRP2(Multidrug resistance-associatedprotein2)により胆汁中に排泄される。

 

プラバスタチン(メバロチン)は、
主に未変化体として、胆汁中排泄されることにより消失する。

 

プラバスタチンの胆汁中排泄について、
プラバスタチンは酸性薬物であり、
肝実質細胞の血管側膜に存在する有機アニオントランスポーターのOATP1B1により、
血中から細胞内へ取り込まれ、
その後、胆管側膜に存在するMultidrug Resistance associated Protein 2(MRP2)や、
Bile Salt Export Pump(BSEP)により、
胆汁中に排泄されると考えられている。

 

95回薬剤師国家試験問158 薬物の胆汁中排泄に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか

 

 

◆ 3について
3 ○ 胆汁は肝細胞から毛細胆管内に分泌された後、総胆管を経て十二指腸内に分泌される。

 

胆汁は肝細胞から毛細胆管内に分泌された後、毛細胆管が集合した胆管に入り、
一旦、胆のうに蓄えられる。
その後、総胆管を経て、十二指腸内に分泌される。

 

 

◆ 4について
4 × グルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された薬物は、腸肝循環する際には腸内細菌の酵素による分解を受け、極性が増大している。
→ 〇 グルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された薬物は、腸肝循環する際には腸内細菌の酵素による分解を受け、極性が低下している。

 

肝実質細胞内でグルクロン酸抱合を受け、
極性と分子量が大きくなり、
胆汁中に排出された薬物は、
総胆管を経て十二指腸内に分泌される。
胆汁中のグルクロン酸抱合体は、
その後、そのまま糞便として排泄されるものと、
腸管内で腸内細菌などにより脱抱合され、
極性と分子量が低下し、
小腸から再吸収されるものがある。
小腸から再吸収された薬物は、門脈を経て肝臓に戻る。これを腸肝循環と呼ぶ。

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