併用によって薬物濃度が上昇する相互作用 101回薬剤師国家試験問170
101回薬剤師国家試験 問170
薬物Aの血中濃度が薬物Bの併用によって上昇する組合せはどれか。2つ選びなさい。
101回薬剤師国家試験 問170 解答解説
薬物Aの血中濃度が薬物Bの併用によって上昇する組合せは、
選択肢1と4である。
◆ 1:シンバスタチンとエリスロマイシンの併用について
シンバスタチン(リポバス)は、主にCYP3A4により代謝される。
エリスロマイシンは、14員環マクロライド系抗生物質であり、
代謝物または代謝中間体がCYPのヘム鉄と共有結合を形成し、
安定な複合体となることでCYPの活性を阻害する。
この機構によるCYPの阻害は、不可逆的な阻害である。
シンバスタチンとエリスロマイシンを併用すると、
エリスロマイシンのCYP3A4阻害作用により、
シンバスタチンの血中濃度が上昇する。
そのため、シンバスタチンとエリスロマイシンは、
併用注意となっている。
なお、シンバスタチンは、肝臓でエステラーゼにより加水分解を受け、
活性代謝物のオープンアシド体となるプロドラッグである。
シンバスタチンは、代謝物のオープンアシド体と比較し、
肝臓に選択的に分布する。
◆ 4:プロカインアミドとシメチジンの併用について
プロカインアミド(アミサリン)、及び、
その活性代謝物のN-アセチルプロカインアミドは、
主として腎臓より尿中排泄されて消失する。
シメチジン(タガメット)は、CYP阻害作用と、腎臓で有機カチオンの尿細管分泌に関与するトランスポーターのOCT2 ,MATE1,MATE2-Kの阻害作用を有する。
プロカインアミドとシメチジンを併用すると、
シメチジンのOCT2 ,MATE1,MATE2-Kの阻害作用により、
プロカインアミド、及び、N-アセチルプロカインアミドの尿細管分泌が阻害され、
これらの血中濃度が上昇する。
他の選択肢の相互作用については、
下記のリンク先を参照
・リファンピシンとトリアゾラムの相互作用 104回問167の2
・コレスチラミンとプラバスタチンの相互作用 103回問167の2
★ 他サイトさんの解説リンク
101回問170(e-RECさん)