イヌリンの尿中排泄速度と血中濃度の関係 95回薬剤師国家試験問157の4
95回薬剤師国家試験 問157の4
下記の薬物の腎排泄に関する記述の正誤を判定してみよう。
4 イヌリンの尿中排泄速度は、血中濃度によらず一定である。
95回薬剤師国家試験 問157の4
4 × イヌリンの尿中排泄速度は、血中濃度によらず一定である。
→ 〇 イヌリンの尿中排泄速度は、血中濃度に比例して変化する。
薬物の尿中排泄速度dXu/dt(mg/min)は、次式で表される。
U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
S:尿細管分泌速度 A:尿細管再吸収速度
上式におけるCp・fu・GFRは、
薬物の糸球体ろ過速度を表す。
fpが掛かっているのは、
非結合形薬物のみが糸球体でろ過されるためである。
また、薬物の尿中排泄速度dXu/dt(mg/min)は、
再吸収される割合(R)を用いて、次式でも表される。
上式で(1−R)が掛かっているのは、
糸球体ろ過と尿細管分泌された薬物のうち、
再吸収されなかった分が尿中に排泄されるためである。
U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
S:尿細管分泌速度 A:尿細管再吸収速度
イヌリンは、血漿タンパク質と結合しないことから糸球体で自由にろ過され、
糸球体ろ過のみで消失し、尿細管分泌も尿細管再吸収も受けない。
よって、イヌリンの尿中排泄速度は、血漿中濃度に比例する。
イヌリンにおいて、
横軸を血漿中濃度、縦軸を尿中排泄速度とし、
データをプロットすると、下の図のように、
原点を通り、血漿中濃度によらず一定の傾きを示す直線となると考えられる。