薬物の尿細管分泌速度の計算 98回薬剤師国家試験問169

98回薬剤師国家試験 問169
薬物の肝臓への分布及び胆汁中排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選びなさい。
1 肝実質細胞の血管側膜には種々の輸送担体が発現し、多くのアニオン性薬物やカチオン性薬物の肝取り込みに関与している。
2 肝実質細胞から毛細胆管への薬物輸送機構は、多くの場合、薬物の濃度勾配を利用した単純拡散である。
3 分子量の小さい薬物ほど、胆汁中へ排泄されやすい。
4 血中においてアルブミンに結合している薬物もDisse腔に入り、肝実質細胞の近傍に到達することができる。
5 肝臓において抱合代謝を受け、胆汁中に排泄された薬物は、一般に分子量が大きく親水性が高いので、すべて糞便中へ排泄される。

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98回薬剤師国家試験 問169 解答解説

 

薬物の肝臓への分布及び胆汁中排泄に関する記述のうち、
正しいのは、選択肢1と4である。

 

98回薬剤師国家試験問169 薬物の肝臓への分布及び胆汁中排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか

 

◆ 1,4について
1 ○ 肝実質細胞の血管側膜には種々の輸送担体が発現し、多くのアニオン性薬物やカチオン性薬物の肝取り込みに関与している。

 

4 ○ 血中においてアルブミンに結合している薬物もDisse腔に入り、肝実質細胞の近傍に到達することができる。

 

肝臓には類洞と呼ばれる毛細血管があり、
薬物はこの類洞を流れる血液中から肝実質細胞内に取り込まれる。
類洞から外に出た薬物は、類洞と肝実質細胞との間に存在するディッセ腔(Disse腔)と呼ばれる間腔を通り、肝実質細胞に到達する。
類洞の血管壁の構造は、不連続内皮であり、内皮細胞の間に大きな開口部があり、
低分子だけでなく高分子も自由に通過できる。
そのため、アルブミンなどのタンパク結合した物質でも、
類洞の開口部から血管外に移行してDisse腔に入り、
肝実質細胞の近傍に到達することができる。
Disse腔から肝実質細胞内に移行するのは、非結合形薬物のみである。
肝実質細胞の毛細血管側膜には種々の輸送担体が発現し、
多くのアニオン性薬物やカチオン性薬物の肝取り込みに関与している。

 

 

◆ 2について
2 × 肝実質細胞から毛細胆管への薬物輸送機構は、多くの場合、薬物の濃度勾配を利用した単純拡散である。
→ 〇 肝実質細胞から毛細胆管への薬物輸送機構は、多くの場合、能動輸送である。

 

肝実質細胞内に取り込まれた薬物は、
未変化体のまま、または、代謝された後、
毛細胆管を流れる胆汁中に排泄されることがある。
肝実質細胞から毛細胆管への薬物輸送機構は、多くの場合、
トランスポーターを介した能動輸送である。

 

関連問題
肝臓の毛細血管壁の構造 95回問155d

 

 

◆ 3について
3 × 分子量の小さい薬物ほど、胆汁中へ排泄されやすい。

 

分子量が500以上の薬物が胆汁中に排泄されやすい。

 

 

◆ 5について
5 × 肝臓において抱合代謝を受け、胆汁中に排泄された薬物は、一般に分子量が大きく親水性が高いので、すべて糞便中へ排泄される。

 

肝実質細胞内でグルクロン酸抱合などの抱合代謝を受け、
水溶性と分子量が大きくなり、
胆汁中に排出された薬物は、
総胆管を経て十二指腸内に分泌されるが、
その後、そのまま糞便として排泄されるものと、
腸管内で腸内細菌などにより脱抱合され、
分子量が小さく脂溶性の高い薬物に戻り、
小腸から再吸収されるものがある。
小腸から再吸収された薬物は、門脈を経て肝臓に戻る。これを腸肝循環と呼ぶ。

 

 

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