イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 96回薬剤師国家試験問155の1,2

96回薬剤師国家試験 問155の1,2
下記の腎排泄に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

1 イヌリンの腎クリアランスは、糸球体ろ過速度の約2倍である。
2 イヌリンの腎クリアランスは、血漿中濃度が高くなると大きくなる。

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96回薬剤師国家試験 問155の1,2 解答解説

 

◆ 1,2について
1 × イヌリンの腎クリアランスは、糸球体ろ過速度の約2倍である。
→ 〇 イヌリンの腎クリアランスは、糸球体ろ過速度に等しい。

 

2 × イヌリンの腎クリアランスは、血漿中濃度が高くなると大きくなる。
→ 〇 イヌリンの腎クリアランスは、血漿中濃度によらず一定である。

 

薬物の尿中排泄速度dXu/dt(mg/min)は、
次式で表される。

 

イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 薬学96回問155の1,2

 

U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
S:尿細管分泌速度 R:再吸収される割合

 

薬物の腎クリアランス(CLr)とは、
腎臓で単位時間当たりに処理される薬物を含む血漿量であり、
腎臓で単位時間当たりに消失する薬物量を血漿量で表したものである。

 

腎クリアランス(CLr)は、
薬物の尿中排泄速度を血漿中薬物濃度(Cp)で除することで求められる。

 

イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 薬学96回問155の1,2

 

U:尿中薬物濃度 V:単位時間当たりの尿量
Cp:血漿中薬物濃度 fp:血漿中非結合形分率
GFR:糸球体ろ過速度
CLs:分泌クリアランス R:再吸収される割合

 

イヌリンは、血漿タンパク質と結合しないことから糸球体で自由にろ過され、
糸球体ろ過のみで消失し、尿細管分泌も尿細管再吸収も受けない。
よって、イヌリンの尿中排泄速度は、血漿中濃度に比例する。

 

イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 薬学96回問155の1,2

 

 

下図は、イヌリンの血漿中濃度と、
尿中排泄速度,および,腎クリアランスとの関係を示すグラフである。

 

イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 薬学96回問155の1,2

 

なお、イヌリンの腎クリアランスは、
糸球体ろ過速度と等しくなることから、
イヌリンの注射液(イヌリード注)は、腎機能検査薬として用いられている。

 

イヌリンの腎クリアランスと糸球体ろ過速度・血漿中濃度の関係 薬学96回問155の1,2

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