104回薬剤師国家試験問197 免疫測定法
104回薬剤師国家試験 問197
入院して7日後の朝に患者から採血し、測定したジゴキシンの血中濃度は3.7 ng/mL であった。今回用いた血中濃度測定法は、ジゴキシンに対するポリクローナル抗体を用いる蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)法であることが判明した。そこで、モノクローナル抗体を用いるenzyme multiplied immunoassay technique(EMIT)法によって再測定を依頼した結果、0.8 ng/mL の値が得られた。免疫測定法に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1 ポリクローナル抗体よりモノクローナル抗体を用いる方が、一般に交差反応性が大きい。
2 FPIA法の代替測定法として、サンドイッチELISA法はジゴキシンの測定には適さない。
3 FPIA法では、蛍光標識したジゴキシンが抗体と結合することにより、蛍光偏光解消度が高値となる。
4 EMIT法では、抗原−抗体複合体が酵素と結合すると酵素の活性が変化することを利用する。
5 免疫測定法の代替法として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いても、内因性ジゴキシン様物質の影響を除くことができない。
104回薬剤師国家試験 問197 解答解説
◆ 1について
1 × ポリクローナル抗体よりモノクローナル抗体を用いる方が、一般に交差反応性が大きい。
→ 〇 ポリクローナル抗体よりモノクローナル抗体を用いる方が、一般に交差反応性が小さい。
詳細は下記のリンク先を参照
モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の交差反応性 102回問199の2
◆ 2について
2 〇 FPIA法の代替測定法として、サンドイッチELISA法はジゴキシンの測定には適さない。
サンドイッチ法は複数の抗原決定基(エピトープ)を持つ抗原の測定に用いるものなので、
高分子の測定に適した方法であり、
ジゴキシンのような低分子の測定には適さない。
関連問題
サンドイッチイムノアッセイは高分子化合物の定量に適している 96回問34d
◆ 3について
3 × FPIA法では、蛍光標識したジゴキシンが抗体と結合することにより、蛍光偏光解消度が高値となる。
→ 〇 FPIA法では、蛍光標識したジゴキシンが抗体と結合することにより、蛍光偏光解消度が低値となり、蛍光偏光度が高値となる。
詳細は下記のリンク先を参照
蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)法の原理 104回問197の3
◆ 4について
4 × EMIT法では、抗原−抗体複合体が酵素と結合すると酵素の活性が変化することを利用する。
enzyme multiplied immunoassay technique(EMIT)法では、
酵素で標識した抗原に抗体が結合すると酵素の活性が変化(活性が上昇または低下)することを利用する。
詳細は下記のリンク先を参照
EMIT法の原理 104回問197の4
◆ 5について
5 × 免疫測定法の代替法として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いても、内因性ジゴキシン様物質の影響を除くことができない。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた場合、
内因性ジゴキシン様物質を分離することができるので、
その影響を除くことができる。
★ 他サイトさんの解説リンク
104回問196,197(e-RECさん)