せん断応力とせん断速度の関係図 106回薬剤師国家試験問179

106回薬剤師国家試験 問179
液状の物質AとBについて、せん断応力とせん断速度の関係を調べたところ、図の結果が得られた。これらの図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
106回薬剤師国家試験問179 せん断応力とせん断速度の関係図

 

1 物質Aのみかけ粘度は、0.4 Pa・sである。
2 物質Aの降伏値は、40 Paである。
3 物質Bでは、せん断応力の増加とともにみかけ粘度が低下している。
4 物質Bの流動曲線は、高濃度のデンプン水懸濁液に見られる。
5 ニュートンの粘性法則に従う流動を示しているのは、物質Aである。

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106回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 物質Aのみかけ粘度は、0.4 Pa・sである。

 

物質Aのレオグラムは、
降伏値があり、かつ、直線であることから、
塑性流動(ビンガム流動)だと考えられる。

 

106回薬剤師国家試験問179 せん断応力とせん断速度の関係図

 

塑性流動(ビンガム流動)の詳細は下記のリンク先を参照
塑性流動(ビンガム流動)のレオグラム 91回問171b

 

塑性流動のレオグラムの直線の傾きは粘度の逆数(1/η)に等しい。
物質Aの図の値より、みかけ粘度(η)は下記のように求められる。

 

106回薬剤師国家試験問179 せん断応力とせん断速度の関係図

 

 

◆ 2について
2 物質Aの降伏値は、40 Paである。

 

降伏値とは流動の起こり始めるせん断応力であり、
塑性流動(ビンガム流動)のレオグラムの直線の横軸切片である。
物質Aの図より、降伏値は40 Pa未満だと考えられる。

 

106回薬剤師国家試験問179 せん断応力とせん断速度の関係図

 

 

◆ 3,4について
3 × 物質Bでは、せん断応力の増加とともにみかけ粘度が低下している。
→ 〇 物質Bでは、せん断応力の増加とともにみかけ粘度が増加している。

 

4 〇 物質Bの流動曲線は、高濃度のデンプン水懸濁液に見られる。

 

106回薬剤師国家試験問179 せん断応力とせん断速度の関係図

 

物質Bのレオグラムは、
せん断応力及びせん断速度が大きくなるほど傾きが小さくなる曲線である。
これは、せん断応力の増加とともに粘度は増加することを示す。
この流動をダイラタント流動と呼ぶ。
ダイラタント流動を示す流体として、
粒子径の小さい非凝集性粒子を50%以上の高濃度で含む水性懸濁液があり、
例として60%デンプン水性懸濁液が挙げられる。

 

ダイラタント流動の詳細は下記のリンク先を参照
ダイラタント流動のレオグラムと粘度 91回問171c

 

 

◆ 5について
5 × ニュートンの粘性法則に従う流動を示しているのは、物質Aである。
物質A及びBのいずれもレオグラムは原点を通る直線ではないため、
ニュートンの粘性法則に従わない非ニュートン流動を示している。

 

ニュートンの粘性法則は、次の@式で表される。

 

S = η・D …@
S:せん断応力(ずり応力) D:せん断速度(ずり速度)
η:粘度(粘性係数)

 

ニュートンの粘性法則に従う流動をニュートン流動と呼ぶ。

 

@式は下記のA式に変換される。
D = (1/η)・S …A
S:せん断応力(ずり応力) D:せん断速度(ずり速度)
η:粘度(粘性係数)

 

A式より、ニュートン流動のレオグラムは原点を通る直線となる。

 

物質A及びBのレオグラムはいずれも非ニュートン流動のものであるため、
ニュートンの粘性法則に従っていない。

 

ニュートン流動の詳細は下記のリンク先を参照
ニュートン流動のレオグラム 91回問171a

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
106回問179(e-RECさん)

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